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    とても生物とは思えない生き物たち?


    今回は、海中でよく見かけ、まるで人工物のような不思議な形をした生物や卵塊をいくつかご紹介します。

    熟練ダイバーたちには、『あ~それ、知ってる!』ということになると思いますが、ダイバーに成り立ての方や海中世界を覗いたことのない方には、けっこう面白いかも知れません。

    ≪だ~れ?こんなところにカシパン置いたの?≫

    は~い!私はウニの仲間で、『タコノマクラ目』に所属しているスカシカシパンといいます。薄い円盤形で、鍵穴のような細長い5つの穴が開いていて不思議な形でしょう?普段は砂にもぐっていることが多いけど今度見つけてね!

    ≪この作りかけの砂茶碗、だれの作品だ~?≫

    す、すいませ~ん!私です。『タマガイ科』のツメタガイと申します。私の卵たちですが、砂の中で作ったもので、中には約200個くらい私の子どもたちが入っています。いつもはモグラのように砂の中にもぐって二枚貝を襲っては食べているのですが、アサリやバカガイの貝殻に穴を開けたのも私です。ごめんなさ~い!!

    ≪だれだー?こんなところに、おそば捨てたのは?≫

    おそばじゃあないよ~海そうめんっていうんだ~みんなが面白がって突っつくオレ、『アメフラシ』の卵塊だよ。今度、会っても突っつかないでちょうだいよ!お願いだからさ~

    ≪おぉ~きれいなスポンジのリボンじゃん!≫

    リボンじゃあないけどきれいでしょう!スパニッシュ・ダンサーとも呼ばれたことのある私『ミカドウミウシ』の子どもたちよ!卵からかえったら、私のように華麗に泳ぐのよ!

    ≪ん?だれか、そそうした?≫

    ごめんなさい!私がそそうしました。『ギボシムシ科』のワダツミギボシムシといいます。私が砂中からちょっとだけ肛門をのぞかして糞を出してしまいました。タマシキゴカイの糞と間違う人もいますけど、私の方が太くて立派でしょう?

    いかがですか?今回紹介したものは、海中で良く見かけるものばかりですが、『これが生物?これが卵?』と思うような不思議な形をしたものだと思います。

    海中生物って不思議なものが多いですね!


    -お生物講座099-

    投稿者 formosa : 17:39

    ムール貝にも国際化の波が?


    東京の築地市場など大都市の市場では、ほとんど見ることのない『イガイ』は、地方では『せとかい』とか、『いのかい』と呼ばれ食用とされています。『イガイ』というとどんな貝かわかりにくいと思いますが、ムール貝の仲間といえば想像つきますよね。

    『イガイ』は北海道南部から九州まで分布し、波の荒いところの岩礁に足糸と呼ばれるもので群がって付着しています。

    殻長は13cm、殻高6cm、殻幅4cmくらいになりますが、貝の殻長・殻高・殻幅は、どれがどこかわかりますか?

    この生物講座で3回目のご紹介になりますが、

    2枚貝の場合、2枚の殻の付け根とも言うべき蝶番(ちょうつがい)歯の連結部分の靱帯(じんたい)を下にして上下方向を高さ、2枚の殻の厚さを幅と表現します。つまり、片方の殻を底にして反対側の殻を直角に大きく開いた状態にして、その時の高さを殻高と呼ぶのです。殻長は、蝶番(ちょうつがい)とほぼ平行方向の長さをいいます。

    『イガイ』の表面は漆黒色、内側は真珠光沢が強く、殻頂は尖った三角形状で多少わしばな状に曲がっています。

    産卵期は12~5月ごろで、1年で殻長が5cmくらいに成長し2~3年で殻長が13cmまでになります。

    食用で特にお馴染みなのがムール貝と呼ばれている『ムラサキイガイ』ですが、イガイ目イガイ科に属する貝です。

    ムール貝は、もともとヨーロッパ原産で今では、三陸以南の日本各地の港湾などに住み、防波堤やブイ、養殖施設、火力発電所などの取水管に群がって付着しています。

    このムール貝の本家は、昭和初期に神戸港で発見されて以来、あっという間に日本各地に広がり分布するようになったそうです。遠い異国の地からやってきた移民者なのです。

    北海道を中心とした寒海域の『キタノムラサキイガイ』と交雑種もあり、また、東南アジアからやってきた『ミドリイガイ』など今では、外地からの移入種が多く生息するようになり、貝の世界にも【国際化】が迫っているいるようです。

    ムール貝は、殻長は9cm、殻高5cm、殻幅3cmくらいで表面は、光沢の強い藍黒色で内側は『イガイ』と異なり、光沢はなく空色です。また腹縁はややふくらんでいます。

    松とうちゃんのムール貝のイメージとして残っているのが、東京に上京してきたころ、フランス料理店でいただいた高級なムール貝のホワイトソースかけを食べてみて、

    ≪どこにもいるカラス貝(淡水産のイガイの異名)じゃん!≫
    ≪こんなのも高級料理の材料になるんだ~≫
    ≪東京というところはすごいな~何でも高級だ!≫

    みそ汁のだしくらいにしか考えていなかったカラス貝がね~これがこんな高級なフランス料理に!と感心したものでした。

    美味しかったな~あのムール貝…

    実は、このカラス貝とムール貝の違いがわからなかったのです。

    そもそも牡蠣の養殖施設に付着し牡蠣の天敵だったムール貝を養殖し、高級食材とした漁師さんの知恵には脱帽です。

    ムール貝は、フランス料理などのように手をかけて調理するのも良いですが、塩ゆでしただけのムール貝をそのままいただくだけで、美味しい酒のつまみになります。本当に美味です!

    スーパーで見かけ急に食べたくなり思わず手に取っていました。そこで、このテーマにしてしまいました。
    さぁ、これからお鍋でお湯を湧かします。
    一緒にムール貝食べましょっ!


    -お生物講座098-

    投稿者 formosa : 18:17

    流離いの旅人イボダイとメダイ?


    幼・稚魚のころに流れ藻、漂流物、クラゲなどに乗って移動するお魚でイボダイ亜目のお魚をご存知でしょうか?

    イボダイ亜目は、イボダイ科、マナガツオ科、エボシダイ科など5科に分類されますが、イボダイ科の『イボダイ』は九州ではシズ、関西ではウボゼ、関東ではエボダイなどと呼ばれますので

    ≪あ~、バター焼き、塩焼き、煮付けなどにして美味しいあの魚ね!≫

    と思い出す方も多いと思います。

    イボダイ亜目のお魚の特徴は、

    咽頭部(のど)と食道の間に食道のうという袋をもつことで、この袋の内壁には肉質または角質の小突起が密集し消化機能があるのです。食べた餌は、この食道のうで完全に粘液化され、それから胃に送られるという不思議な構造をもっています。

    ほとんど成魚は、中・深層にすんでいますが、仔稚魚期には、表層のクラゲや流れ藻に乗って移動しますので、世界の暖海域に広く分布する流離いの旅人なのです。

    エボシダイ科に属する『エボシダイ』は幼魚のとき、強い毒をもつ有名なカツオノエボシの触手の間にすんでいます。成魚になるとカツオノエボシを離れ水深2000~1000mくらいの深場に移りますが、世界中の温帯と熱帯の海域に分布し、日本では夏に幼魚として見られます。

    この『エボシダイ』は、カツオノエボシの触手の間にすみついていながらカツオノエボシの触手を失敬して食べるふとどき者なのです。生まれつきカツオノエボシの毒に強いわけではなく、小さなころから少しづつ触手に接触し、徐々に免疫をつけていくといわれています。

    ながれ藻につくお魚としてはブリの稚魚が有名ですが、イボダイ科の『メダイ』も仔稚魚期にながれ藻につき移動します。

    『メダイ』は、北海道以南の太平洋側に多く生息しますが、伊豆半島、紀伊半島などの沖合い深場に多いことが知られています。

    松とうちゃんは、八丈島を訪れたとき地魚をネタにする島寿司を食べますが、決まってこの『メダイ』が出てきます。深場のお魚にしては、身がしまっていてとっても美味しいお魚です!

    九州南部や四国沖で産卵された『メダイ』の卵や稚仔は、ながれ藻に乗り黒潮によって、北の三陸沖合いに運ばれ、深場生活に入り成長とともに親潮に乗り換え南下し、産卵場所に戻るというパターンでまさに『流離いの旅人』といった感じです。

    ダイバーの方は海面付近でミズクラゲやアカクラゲの触手にイボダイ科の幼・稚魚が群れですみついている光景をみることがあると思います。
    癒し系といわれているクラゲの動きの中で可愛い小魚がすみついている様子をみたら、なんてファンタジックな世界だろうと感じると思います。


    -お生物講座097-

    投稿者 formosa : 17:33

    コバンザメを引き連れた松とうちゃん?


    あいつは、コバンザメのようなやつ!と例えるように、今回は大型種の生物などにピッタリくっついてくらしているお魚、『コバンザメ』のお話です。

    名前からしてサメの仲間のように思われている方もいるかも知れませんが、れっきとした硬骨魚類です。スズキ目のコバンザメ亜目に分類されるお魚です。

    『コバンザメ』とサメ類のようにまぎらわしい名前がついたのは、サメ類など大型種に子どものようにぴったりと吸着しながら一緒に行動しているからではないかと思います。

    昔は、分類学的にまぎらわしいというので『コバンイタダキ』とけったいな名前を別名にしていましたが、いつのまにか『コバンザメ』に統一されてしまったようです。

    学名のEcheneididaeは『船を引っ張り込む』という縁起の悪い意味があり、英語ではa sucking fish『吸引魚』とか、a shark sucker『サメの乳児』と呼ばれています。

    『あやかし』と呼ぶ地方もあるようですね。

    『コバンザメ』は、頭の後方、第一背ビレが変形した細長い小判状の吸盤があり、それで吸着主のお腹などにピッタリくっついています。

    吸着主の急な体勢の変化に応じて吸着場所の移動が行えるように、胸ビレは大きく機能的です。速く泳ぐ吸着主に振り落とされないように、水の抵抗が少ない細長い体形をしています。

    吸着主に吸盤でつく原理は、吸盤のふちを漏れないようにピッタリとくっつけ吸盤内を陰圧にすることによって吸着力を強くしています。

    『コバンザメ』が吸着主とするものはサメ、マンタ、マグロ、カジキ、ウミガメ、クジラなどで、時には動物以外の船や漂流物に吸着している事もあるようです。

    ダイバー松とうちゃんに吸着することもあるのです。ホントです!!
    太ももに、しっかり『コバンザメ』がついてしばらく水中遊泳を楽しんだ(?)こともあります。

    『コバンザメ』は、小魚やプランクトン、甲殻類を食べますが、吸着主の食べ残しや、体表や鰓(えら)に寄生しているものをいただいて御利益をもらっています。

    しかし、『コバンザメ』にくっつかれている吸着主は、何の御利益があるのでしょう?

    ≪オレは、こんなに子分を連れているんだよ~≫

    と扶養家族の数を誇示しているのでしょうか?

    そう言えば、松とうちゃんも『コバンザメ』がついたときは、悪い気持ちしなかったな~

    人間社会でもコバンザメのように大物にピッタリ寄り添っている者も、それらを引き連れて歩く大物もきっと双方にメリットがあるのでしょうね!

    -お生物講座096-

    投稿者 formosa : 17:24

    サザエさん、あなたのご出身は?


    今回は、日本人の最も好む貝のひとつ『サザエ』のお話です。サザエの壺焼きは有名で、これからの季節、海辺の屋台でよく見かけますよね。初夏が旬です!

    『サザエ』はこぶしのような形をした巻貝ですが北海道以南から日本全国の岩礁にすんでおり、特に暖流の影響を受けるところに多いようです。

    殻表には棘(とげ)が立ち上がっているものが多く、波静かで海藻類の少ない環境ではまったく棘のない『つのなし』のサザエもおります。波の荒いところのサザエは流されないようにふんばるためか、棘(角)が長いと言われています。

    昼間は磯の岩のすき間などにおりほとんど動きませんが、夜には活発に動き回り好物のテングサやホンダワラ、カジメなどを食べています。

    『サザエ』の口の中、見たことあります?小さな歯が何列もならんだ歯舌(しぜつ)と呼ばれるそしゃく器があり、これで固い海藻もおろし金ですりおろしたように食べるのです。
    不思議なのは、その歯舌はいつも新鮮で、次々に新しい歯舌がおくりだされてくるため、いつでも新しい鋭い歯で餌を食べることができるのです。

    人間で言うと『万年乳歯?』かな?

    小型のうちは潮間帯のクレパスなどで見られますが、大型のものになると水深20mを超すところにすんでいるものもあります。よく宮古島の北『八重干し』で夏の干潮時、サザエの潮干狩りに行ったという話を聞きますね。

    深いところの『サザエ』は潜水や長い竹竿での見突き、刺し網などで漁獲されます。伊豆大島の元町港では、40~50年前から『椿あんこ娘?』だったおばさんが、よく屋台で売っていたのを思い出します。

    皆さんもスーパーやお魚屋さんで買われることもあると思いますが、殻が白っぽくなっているのは、人工的に偏食させたものですのでご注意を!

    よくサザエの壺焼きなどで先っぽの黒や緑の肝を『にがいから嫌だ~』と食べない方がいますが、にがいのは、蓋(ふた)近くのふちにあるひだの部分だけです。このスカートのようなひだをとるとにがくなくなります。

    ★松とうちゃんの『エスカルゴ風サザエ炒め』をご紹介しましょう!

    まず、新鮮なサザエ(粘液で汚れていたら不新鮮)を白ワインで蒸 します。(もったいないですが、ここがポイント。)
    蒸し上がったら貝殻から身をとりだし、幾つかに切ります。
    フライパンにバターとニンニクのみじん切りを入れ軽く炒めサザエ の身と刻みネギをいれて炒め、白ワインを少々加えます。
    あとは塩・胡椒・赤唐辛子(一味でも可)・お醤油などで味を整え て終わり。そして召し上がるだけです。

    美味しいですよ~

    話がお生物講座からはずれてきましたので、元に戻しましょう!えっへん!学術的?なお話を…

    『サザエ』など魚介類を捕るべからず!

    の看板を海辺で見ることがあると思いますが、これは漁業関係者の権利を守るためのルールで具体的には、繁殖・増殖のため漁業関係者が高価な稚貝をまいて漁場を保護しているからでもあります。
    この稚貝も日本で不足する事態がおこることもあり、朝鮮サザエを輸入して補給することもあるようです。

    1年で1cmくらいしか大きくならない『サザエ』ですが繁殖過程で、日本産のものか朝鮮産のものかある変化が起こります。

    それは何か?皆さん、お分かりですか?

    もったいぶらずお教えしましょう!実は『サザエ』の蓋(石灰質)は、

    朝鮮生まれ→緑色っぽい
    日本生まれ→茶色っぽい

    緑色と茶色の違いがあります。完全に緑色が強いものは朝鮮生まれで、日本産と混じると緑色が薄くなっていきます。日本海側のものは、自然と混ざるのかほとんどの『サザエ』の蓋が少し緑色がかっているのではないでしょうか?日本海の方、わかったら教えて下さい。

    スーパーに行って『サザエ』を見つけたら、是非一度蓋を見て下さい。『あんたはどこから来たの?』と尋ねてみるのもいいかも知れません!
    (*^_^*)

    食べて美味しい『サザエ』も、そのルーツを探るのも楽しいかもしれませんね!

    螺旋(らせん)状に巻いている『サザエ』は、いろいろな名称に使われています。

    【さざえどう】

    内側の階段が螺旋はしごに似た構造になっている堂。現存する
       ものは福島県会津若松市の飯盛山のさざえ堂

    【さざえばしご】

    同じくサザエの殻のように螺旋状になった階段。

    【さざえわり】

    これは何か分からないでしょう!なんと、『ネコザメ』の異名です。

    ダイビングではただ眺めているだけの『サザエ』ですが、その生態やルーツを探ると結構楽しいかも知れませんね。

    ≪う~ん!でも~あんまり観察していると食べたくなる…≫

    そんなときはダイビング終えたら地元のスーパーで買って帰りましょ!

    -お生物講座095-

    投稿者 formosa : 17:07

    ヤドカリの国勢調査はいつ?


    今回は、多くの皆さまにお馴染みの『ヤドカリ』についてです。以前、ヤドカリとイソギンチャクの共生についてお話ししましたが、今回は『ヤドカリ』を主体にご紹介したいと思います。

    貝殻にすむ『ヤドカリ』はエビとカニの中間的な形をしており、お腹がねじれていることから異尾(いび)類という分類に入ります。

    異尾類には、貝殻生活をするものと、貝殻にすまないエビ型やカニ型のものがあります。

    ヤドカリ類はヤドカリ上科とホンヤドカリ上科の二つの大きなグループに分けられ、ホンヤドカリ上科には貝殻を放棄したあの美味なタラバガニが含まれます。

    冷たい北の海に多いホンヤドカリ上科は、右の鋏(はさみ)が大きい右利きが、暖かい海で繁殖したヤドカリ上科は、左利きが多いと言われているので、この二つのグループの区別は容易です。

    貝殻生活をする『ヤドカリ』は、野外では貝殻なしでは生きていけず、常に住居となる貝殻にすむか、探しているかのどちらかです。

    空の貝殻を見つけると『ヤドカリ』は、鋏(はさみ)で器用に、中の海藻などを出してすみつきます。砂が入っているときは、鋏(はさみ)で取り出すわけにもいかずやっかいです。貝殻の横(殻口の反対側)にいて鋏(はさみ)で押してころがすようにして回転させ、砂を外に出します。

    『ヤドカリ』は、成長とともに貝殻をより大きなものに換える必要がありますが、小さすぎる貝殻は成長を遅らせたり、産卵数を減らしたりする原因にもなります。

    我々人間が家に感心を持つように、『ヤドカリ』も貝殻に強い関心を持つようです。

    『ヤドカリ』が簡単に貝殻を手に入れる方法は、空の貝殻を見つけることですが、そうそう空の貝殻はありません。

    そこで、しばしば他の『ヤドカリ』の貝殻に激しく貝殻ごとぶつかり相手を追い出し、その貝殻に入ることがあります。追い出された『ヤドカリ』はより弱い(小さな)もので、相手がいらなくなった貝殻をもらうので、貝殻の交換となります。

    なんか乱暴で理不尽のように思えますが、体の大きいものが勝ち、より大きな貝殻に入るわけですから、お互いが適正な大きさの貝殻に入るわけで、双方が利益を得る交換と言われています。お互いが好適なものにならなければ交換はなりたたないということですね!

    『ヤドカリ』は殻口や殻頂が欠けたもの、壁に穴があいたもの、内側がなめらかでないものを嫌う傾向があるそうです。しかし、そうそう好みの貝殻ばかりあるわけではありません。ときには、不適な貝殻にすんでいることもあるのです。

    ある文献を読んでいましたら…

    【和歌山県白浜の海岸では8割のヤドカリが自分の殻に不満を持って いる調査結果がでている。】

    ≪ん?アンケート調査でもしたの?ヤドカリの国勢調査?≫

    実に不思議な調査結果ですが、どうもそうらしいです!(*^_^*)

    我々人間も、多少、今の家に不満を持ちながらも仕方なく住み続けていることもありますし、ヤドカリも一緒なのですね!

    『ヤドカリ』の間だけで貝殻交換をしていてもいずれは古くなったり、全体的に小さすぎたりしますよね。そこで、『ヤドカリ』は、弱った巻貝などをおそってすみつく場合もあるのです。

    ある『ヤドカリ』が新品の貝殻を手に入れると要らなくなった貝殻に別の『ヤドカリ』が入り更に要らなくなった貝殻に別の『ヤドカリ』が入り…という具合に連鎖的に引っ越しがおこるのです。

    ある地域で1個の新しい貝殻の発見はその地域全体の引っ越しを誘発し、『ヤドカリ』の平均的な住宅事情を良くするのです。

    ≪う~ん!誰かが新築したら…≫
    ≪その近所全体の住宅事情が良くなる?≫
    ≪なんかいいかも?それ!でも引っ越し貧乏?≫

    -お生物講座094-

    投稿者 formosa : 16:55

    アメフラシは本当に雨を降らす?


    例えが悪いですが、中の綿がふんにゃりとした古くなった枕のような、海中生物『アメフラシ』を、ダイバーでしたらご存知と思います。

    ぐにゃぐにゃでナメクジのようなこの不気味な『アメフラシ』は、巻貝の仲間で、背中を広げて見ると、薄くて弾力性のある貝殻の痕跡とも思えるものが見えます。

    『アメフラシ』の仲間は成長につれて巻貝と同じくねじれて育ちますが、途中から反対方向にねじれが戻るようです。そのため鰓(えら)が心臓の後ろに移るので『後鰓類』と呼ばれています。

    ≪だ~れ?こんなところに黄色のソーメン捨てたの?≫

    そばやソーメンと見間違えてそう思った方、いませんか?

    海藻を食べる『アメフラシ』は、春に『うみそうめん』と呼ばれる卵塊を産みます。

    昔から『アメフラシ』をいじめると雨が降ったり、海がしけになるといういい伝えがあるようですが、実際に体を刺激すると紫色の液体を背面から分泌します。『アメフラシ』を見ると、ついついいじめたくなる人、いませんか~?

    ウミウシも含め後鰓類は、雌雄同体ですが、卵は交尾によって受精します。(自家受精もありますが…)

    ≪えっえ~~~???雌雄同体で交尾???≫

    混乱する人もいるかも知れません!(^_^;)

    ふつう交尾というのは、皆さんご存知のようにオスとメスが1対1で行うものですが『アメフラシ』は変わった交尾をすることがあります。

    見たことありませんか?アメフラシが3個も4個も連なっているの。実は、これって交尾の最中なのです!

    ≪えっ?雌雄同体でオス・メスどうなっているの?≫

    例えば、3個の『アメフラシ』が連なったとします。そして先頭がメスとします。そうすると列の一番後ろは、その前の『アメフラシ』に対してオスとして機能し、真ん中の『アメフラシ』は後ろに対してはメスとして、前に対してはオスとしての役割を果たします。

    複雑な交尾ですね~(いったいどれが卵を生むのでしょう?)

    この姿を人間など哺乳動物に例えて想像しないで下さい!あまりにも過激で恥ずかしくなってしまいます!(^_^;)

    『アメフラシ』の産む卵塊には、数十万個もの卵が含まれていると言われていますが、今度、海の中で見つけたら、よ~く観察してみて下さい。

    必ず『中心から左巻き』に産みつけられています。

    『アメフラシ』より更に進化した『ウミウシ』は、リボン状の卵塊を産みつけますが、これらも全て左巻きです。

    不思議な規則ですね~

    『アメフラシ』の仲間の『タツナミガイ』は、体が硬くて食用にしている地方があるようですが、『アメフラシ』食べて美味しかった!という話、聞きませんね。

    どなたか食べた方、教えて下さい!

    -お生物講座093-

    投稿者 formosa : 16:46

    イバラカンザシとゴカイの誤解?


    ハマサンゴなどに、まるで花壇のように様々な色で咲く?『イバラカンザシゴカイ』をご存知ですか?

    赤、黄、青、オレンジ、白、黒などいろいろな色があり、一つのハマサンゴにたくさん集まってついていることがあります。その光景を見ると、本当にお花畑のようで心がなごみます。

    釣りの餌として馴染みの深いゴカイやイソメはミミズのように細長く分類上は、多毛類に入ります。イソメ目のイワムシ、スゴカイは、釣りの万能餌虫としてご存知の方も多いと思います。

    『イバラカンザシゴカイ』はなんとこれら釣りの餌ゴカイやイソメと同じ多毛類なのです。多毛網のケヤリムシ目に属します。

    まるでお花(植物)のように見える『イバラカンザシゴカイ』は、立派な動物というからおどろきですね!

    『イバラカンザシゴカイ』はサンゴなどに石灰質でパイプ状の棲管をつくりその中で固着生活をします。

    棲管の口から多数の鰓糸からなるお花のような鰓冠を出しており、この鰓冠で呼吸やプランクトンなど餌を捕らえます。鰓糸の繊毛でプランクトンなどを捕らえる仕組みです。

    ダイバーが顔を近づけるとサッときれいな鰓冠は棲管に引っ込み出口を殻蓋(かくがい)で蓋をする念の入れようです。突っつくふりしてビックリさせ、中に引っ込んだあと、こちらが身をひそめていると、また出てきますので面白いです。

    このようにして捕食者から身を守りますが、様々な色彩を持つことで更に生存率を高めているようです。

    ある捕食者が、黄色の『イバラカンザシゴカイ』を食べたとします。そうするとその捕食者は『この餌は黄色』と認識し、他の色のものは餌としては対象外になるわけです。

    固着生活している生物はいったん捕食者から目をつけられ、餌として認識されると、同じような形・色のものはあっという間に捕食者にたいらげられてしまうのですね。

    『イバラカンザシゴカイ』が様々な色彩をもちカラフルなのは理由があったのですね!

    前述の画像のようにきれいな『イバラカンザシゴカイ』も捕食者から身を守り生存率を高めるためにいろいろと知恵をしぼっているのです。

    海中でだだ咲いているかのように見えるこの『イバラカンザシゴカイ』も、じっくり観察し、その生態を考えてみると面白い発見があるかも知れません。

    -お生物講座092-

    投稿者 formosa : 17:58

    マツバガイとイボニシの戦いは如何に?


    港のコンクリート桟橋やテトラポット、そして潮間帯の岩の上やクレパスの間に目にする笠貝の一種で『マツバガイ』を知っていますか~?えっ知らない?

    岩礁やコンクリートに固着したこの『マツバガイ』は、大きな吸盤状の足でしっかり吸いついているので、はがそうと思っても、そう簡単にははがれません!

    『マツバガイ』はツタノハガイ科に属し日本産の笠貝の中では、割合大きいほうで、笠のてんぺんから貝殻の縁にかけて放射状に赤褐色の帯が伸びているものが多いですが、編み目状の模様をもつものもあります。かなり、岩などにしっかり吸着しているので動かないのでは?と思っている方もいると思いますが、

    実は活発に動くのです!

    だいたい住む場所は決まってますが、食事のときは動きまわるのです。動きまわる距離は、1日に約1mにもおよぶといわれていますが、動いている姿は松とうちゃんも見たことありません。

    もともと鰓(えら)呼吸する貝ですので、海水をかぶっているとき動きやすいと思うのですが、夜間ですと干上がったときの方が、日中水につかっているときより活発に動くようです。

    ≪そんな貝、気にして見たことないよ!!≫

    そうです!海辺に住む方や磯遊びで度々でかける方でも、この『マツバガイ』は、あまり興味をもたれる貝ではないと思います。

    なぜ?松とうちゃんはそんな貝を紹介するかというと、

    それは、とっても美味し~いからです!(*^_^*)

    ナイフなどで岩からはがし、そのままいただいてもグッドです!極めつけは、ちょっと手を加えて更に美味しくいただく次の方法です。

    水洗いした『マツバガイ』をそのまま、みじん切りしたニンニクと赤唐辛子(生)入りのお醤油に約1時間漬け込むだけで即席中国(台湾)海鮮料理になるのです!

    紹興酒やビールのおつまみには最高です!(*^_^*)

    我々ダイバーなど漁業を営まない一般人がサザエやアワビを捕ったらルール違反ですが、『マツバガイ』捕りでお叱りをいただくことはありません。フジツボ同様、桟橋などをきれいにしてくれたと喜ばれるでしょう!(ホントかな~?)

    ちょっと話しが脱線して、読者の皆さんよりお叱りを受けそうなので話をお生物講座に戻します。(^_^;)

    さて、この『マツバガイ』の天敵は松とうちゃん以外にもいるのです。

    『イボニシ』というアクキガイ科の巻き貝でマツバガイやフジツボを好んで食べます。(やはり美味しい?)

    ※アクキガイは悪鬼貝と呼ばれ外部寄生性のものがいます。

    ダイバーの方なら、潮流れがある浅瀬の岩の下に気持ちの悪いほど群がっている様子を見たことがあると思います。たくさん集まって岩に卵のうを産みつけているのです。(6~8月の季節です。)

    この『イボニシ』は特殊な腺から酸を出して『マツバガイ』の貝殻を軟化させ歯舌で約1mmくらいの穴をあけ吻をさし込み食べるのです。

    しかし、『マツバガイ』も黙って食べられてばかりではありません。『イボニシ』が貝殻に取りつこうとすると、膜を貝殻の外まで突きだして広げ取りつけないように防御します。また、貝殻を左右にねじるように回転させ振りおとします。これらの反応は『マツバガイ』独特の防御方法です。

    『マツバガイ』を好み、彼らの独特な防御方法を攻略すべく攻撃戦略を練っている『イボニシ』ですが、最近、異変が起きていると、噂を聞きました。

    多くのメスの体がオス化(生殖器の変化)し、不妊になるという異常事態です。これは、船底塗料に使われていたスズ化合物などによる海洋汚染の影響ではないかと言われています。

    『イボニシ』も『マツバガイ』との戦いどころではなく、人間社会というとてつもなく大きな怪物と対戦しなくてはならないとは気の毒ですね!(人間の端くれとして申しわけない…)

    -お生物講座091-

    投稿者 formosa : 16:47

    人間は鬼より恐いと思うオニオコゼ!


    背ビレの棘に毒をもつことで有名なカサゴやオコゼ類はサソリ魚(英名:scorpionfish)やハチやアブオコゼなど刺すことにちなんだ名称もありますね!

    オニオコゼ科のお魚は、その毒の強さも強烈ですが、それらに積極的な毒の注入器官があるわけではなく背ビレの棘に何かが触れ刺さると背ビレにある毒腺が破壊されて毒が流れ込むようなしかけになっています。
    (へ~え、そうなんだ~)

    オニオコゼ科で有名なのは、『オニダルマオコゼ』、『オニオコゼ』、『ヒメオニオコゼ』ですが、

    『オニダルマオコゼ』は、サンゴ礁域にすみ、刺されて命を落とした例もあり、本当に恐~いお魚です。オニダルマとはよく言ったものですね!目がどこにあるかわかりませ~ん。

    『オニオコゼ』は、やはりサンゴ礁域の岩礁わきの砂底に体をうずめていることが多く、素足で浅瀬を歩くときなどは気を付けないと危険です。体長約20cmで奇妙な形で鬼を思わせるところからこの名がついたようですね。口の先が上方を向いているのが特徴です。環境によって色彩変異が多く、沿岸のものは濃黒褐色で、深海のものは赤色あるいは黄色が多いようです。

    さすがカサゴの仲間だけあって肉は白身で美味。高級魚として食用されているが、東京湾や瀬戸内海の小ぶりのものは空揚げで賞味されています。美味しさは有名ですので、各地のお魚屋さんでならぶこともありますが、もちろん背ビレは危険で切り取って売られています。

    『ヒメオニオコゼ』は砂から顔だけだしている滑稽いな感じのシーンがよくダイビング雑誌などの水中写真で見かけることがありますが、砂底に全身を出しているときも、体表に皮弁がたくさんあるので、まるで海藻でもついているのかと思わせることもあります。

    ほとんど動かず、尾ビレを左右どちらかに曲げていることが多いようですね。これは魚らしく見せない彼らのテクニックでしょう!胸ビレを広げて威嚇することもありますが、広げなくても十分恐いです。ヒメオニと名前がついたのは、胸ビレのきれいさと、皮弁がかんざしのように見えたからでしょうか?

    砂に潜って休むお魚は目立たないようにして敵から逃れるためですが、『ヒメオニオコゼ』たちの場合、砂に潜って身を隠すのは、外敵から身を守るのではなく、獲物を待ち伏せするためのものです。海底の砂の色とよく似せたカモフラージュは見事なものですね。

    オコゼは漢字で『虎魚』、オニオコゼは『鬼虎魚』。今は食用として養殖もされているようですが、天然ものは刺し網で漁獲されています。猛毒という武器をもち、鬼虎と名付けられたこのお魚を食する我々人間は鬼より恐い!とオニオコゼは思っているのでしょうね!(*^_^*)

    -お生物講座090-

    投稿者 formosa : 15:13

    きれいなウミシダはしっぽ切りの天才!


    サンゴ礁や岩礁の潮の流れの速いところには、植物のシダのようにみえる生物『ウミシダ』がよくついています。

    この『ウミシダ』はイエロー、オレンジ、ブラックなどその色合いが鮮やかで、水中撮影では松とうちゃんの好きな被写体です。

    『ウミシダ』はウニやヒトデと同じく棘皮(きょくひ)動物の仲間で植物ではありません。実際、水中を舞ったり移動したりしている姿をみかけることがあります。

    ウミシダ類の骨格は、大きく分けて根もとの『萼(がく)』と呼ばれるところと、そこから何本か放射状に広がる『腕』に分けられます。『萼(がく)』には口や消化管などがある主要な部分で下側(背中側)には鉤状の巻枝が多数あり、それでサンゴなどにがっちりにぎるように付着し体全体を支えています。

    以前『ウニの不思議な数字5の持つ意味?』でも書きましたが、ウニやヒトデと同じように『ウミシダ』の根もとから腕がふつう5本、放射状にのびています。~これまた5本で不思議ですね~(ウミシダの種類によっては根もとから出ている本数が異なります)腕の先の方に向かって分岐を繰り返し本数を増やしています。

    腕には、薄い腕板というものが多数積み重なっていてそれぞれが関節でつながっていますが、関節には筋肉と靭(じん)繊維があり、腕が自由に動くようになっているのです。

    『ウミシダ』は何を食べて生きているのでしょう?

    『ウミシダ』は潮の流れなどにのって流れてくる海中のプランクトンを食べています。強い潮の流れに向けてまるで扇子を広げたようにし流れてくる餌をこしとっているのです。だから『ウミシダ』は流れの強いところにいるのですね。

    『ウミシダ』を間違ってクローブやウエットスーツにつけてしまったことないですか?腕の羽枝がバラバラにからみついてなかなかとれにくい思いをしたことがあると思います。

    『ウミシダ』は敵に捕まれたりすると、簡単に自らの腕を切り離す自切現象でトカゲのしっぽ切りと同じようにして敵からの難を逃れます。

    不思議なことにこの自切をする関節はどこにもあるわけではないのですが、敵から攻撃されたとき被害が最小限になるように計算配置されているのです。敵はランダムに攻撃するのにどうしたら被害が少ないように計算できるのだろう?『ウミシダ』は数学者?

    サンゴなどに付着している鉤状の巻枝や根もとの萼(がく)付近は、自切がほとんど行われません。大事な部分なのでしょうね。

    棘皮動物は一般に強い再生能力をもっていると言われ、『ウミシダ』も例外でなく自切で失った腕もすぐに再生されます。また口や消化管がある主要部分も再生できるというから驚きです。

    『ウミシダ』は何億年も前から進化を続けてきた生物と言われ、現在もなお世界に17科550種あまりも広範囲にわたって生息しているのは、強い再生能力を備えているからではないでしょうか?

    我々ダイバーが、ほとんどの海域で何気なく観察できる『ウミシダ』もその捕食方法や体の構造、そして再生機能などを観察すると意外と面白い発見ができるかも知れませんね!

    『ウミシダ』は漢字で『海羊歯』と書きます。羊の歯は、どんな形でしょうか?『ウミシダ』に似ているのかな?

    -お生物講座089-

    投稿者 formosa : 16:47

    コガネスズメダイの尾ビレは何色?


    チョウチョウウオの仲間には、黄色の体色のものが多いですが、熱帯の海域から伊豆半島まで広く分布しているスズメダイ科のお魚にも、黄色の体色のものが数種類みられます。

    松とうちゃんがよく行く西伊豆の大瀬崎でもきれいな黄金色の『コガネスズメダイ』が見れるのです。ほとんどフトヤギ(ソフトコーラル)の仲間に単独でいることが多いですね!

    『コガネスズメダイ』は、スズキ亜目のコガネスズメダイ科のお魚で、沖縄から伊豆半島・伊豆諸島にかけて生息しています。パラオなどミクロネシアなどにも見られ、かなり広い範囲に分布しているのですが、ほとんどの海域で見られるのは、頭から尾ビレまで全体が黄色の体色をしているのに対して、不思議なことに伊豆半島で見られるのは、尾ビレが白いのです!

    当店のツアートピックスなどに掲載している『コガネスズメダイ』は、整理してみるとどれもこれも伊豆半島で撮影したもので、全て、尾ビレが白です。

    ほとんどの海水魚図鑑では『コガネスズメダイ』の尾ビレが黄色です。なぜ伊豆半島で見られるものだけが白いのか不思議です。

    幼魚ですが、尾ビレは、白ではなく黄色です。成長すると白に変化するのだと思いますが、いつ頃から尾ビレが白色に変化するのでしょうか?『コガネスズメダイ』の謎は深まるばかりです。

    これから夏になると『コガネスズメダイ』の繁殖期に入ります。単独でいるものの他、数匹でいる『コガネスズメダイ』も繁殖期になると、オスだけが海底に降りて縄張りを作り、岩や小石などの産卵床となるところを掃除し始めます。

    産卵床の準備ができると、オスはメスを誘って産卵させるのです。

    ほとんどのスズメダイや他のお魚の多くは事務的に産卵させ終わるとオスがメスを追い払い、別のメスを誘いますが、『コガネスズメダイ』の場合、産卵中、オスはメスを優しく見守り、時にはメスの体にキスするしぐさも見せます。このようにオスのメスに対する愛情を感じさせるのは珍しいことなのかも知れませんね!

    『コガネスズメダイ』の場合も他のスズメダイのように産卵床に産みつけられた卵をオスが守り続け、卵を狙う外敵から守ったり、新鮮な水を口で送ったり、子育てに必死です!

    やはり、オスが子育てをする『コガネスズメダイ』の繁殖行動は、オスである松とうちゃんにとっても興味深いです!(*^_^*)

    -お生物講座088-

    投稿者 formosa : 17:44

    サザナミヤッコの恋人はだ~れ?


    世界でも観賞魚として古くから人気が高く、美しいお魚の代名詞とも言うべきキンチャクダイ科のお魚は『天使の魚』=エンジェルフィッシュ(angelfish )と形容されるのもうなずける気がします。

    東京の銀座に、比較的幅の広い階段を下りお店を覗くと、カウンター側の壁に大きな海水魚の水槽があり、艶やかな海水魚が泳いで、何とも言えない雰囲気のバーがあります。松とうちゃんは、その中のサザナミヤッコを鑑賞しながらお酒を飲むのが好きです。

    先週の台湾ツアーでも、いくつものダイビングポイントで『サザナミヤッコ』をライブで見てきました。きれいですね~
    ≪どうです?私きれいでしょう~!≫

    上記の画像はドロップオフ途中水深30mのオーバーハングでの撮影です。通常キンチャクダイ科のお魚は、サンゴの切れ目や海底にある根などに生息しており、ダイバーや敵が近づくとすぐにサンゴや根のすき間に隠れてしまいます。

    キンチャクダイ科のお魚は発達した中脳と小脳をもち、同種に対してかなり強い縄張り意識があります。縄張りは、100~1000㎡と広範囲で、餌となる海綿や藻類をライバルである同種のお魚から守るためではないかと松とうちゃんは思っています。

    一夫多妻制のハレムをつくり、オスはハレム内のメスより大きいと言われていますが『サザナミヤッコ』のハレムはほとんど見たことない!(@_@)

    それどころか前記の画像のように縄張り意識が強いと言いながら仲間のタテジマキンチャクダイとサザナミヤッコが一緒にいるではないですか?この光景は何ヶ所ものポイントで見かけましたが、まるで恋人同士のようにいつも寄り添っていました!

    同種に対しては攻撃的ですが、仲間でも種が異なると親しくやっていけるのかも知れませんね。

    通称『ヤッコ』系のお魚は、同種を見分けるため、種独特の色模様・デザインがあります。縦縞模様のタテジマキンチャクダイ、体に6線のロクセンヤッコ、艶やかな体色のアデヤッコなどなど…皆きれいな独特模様です。

    松とうちゃんが、この話題を語り(書き)ながら、いつも抵抗があるのが『同種を敵とし見分けるための識別模様』の悲しさです。

    子までが、親から同種と見られないように親とちがうデザインに変身する彼らの知恵は悲しすぎます。

    キンチャクダイ科の幼魚はほとんど青地に多くの白色の弓形ないしは渦巻き模様をしており、とてもよく似ています。似たもの同士なので、どの親(成魚)の縄張りに入っても攻撃を受けることがありません。子どもたちも考えましたね~

    ≪おいらたち子どもも苦労しているわけよ~!≫

    ところで、主に黄色い衣装をまとっている『チョウチョウウオ』系のお魚と黄色のみならず青色や赤色をも大胆に着こなしている『ヤッコ』系のお魚、どちらがお好きですか?

    松とうちゃんは、どちらかと言うと、艶やか模様の『ヤッコ』系が好きかな。この『ヤッコ』系のお魚が、大きさ・色模様の他、『チョウチョウウオ』系と異なる特徴があります。

    よく見ると鰓蓋(エラブタ)の下の方に白く細く伸びた1本の棘(トゲ)が見えるでしょう。これが『チョウチョウウオ』系にない『ヤッコ』系の大きな特徴なのです。覚えました?ココがポイントです。後で試験にでますよ!(*^_^*)

    今回のキンチャクダイ科のお魚、オス・メスなどお互い繁殖相手の気を引くためのきれいな模様ではなく、ライバルとなる同種の識別のための模様というのは、人間社会で当てはまるものが考えにくいですね!ライバル店に『ウチはダイビングショップ!』と、ダイビング色の濃い看板を見せつけているようなものかな??

    -お生物講座087-

    投稿者 formosa : 16:37

    ねえ~この子は、だれの子?


    お魚の世界には、『あんた!だれの子?』と問いかけたくなるほど、親と子が全く違う体色や体形をしているものが多いです。

    松とうちゃんも『この子は、あのお魚の子』というように多くを知っている訳ではないですが、今回はその違いで有名なものを幾つか紹介したいと思います。

    親子でもこんなに違う!というお魚たちの不思議な生態を今までご紹介しなかったのは、実際にそれらを見ないといくら『これこれこうでこんなに違う!』とメルマガで力説してもうまく伝わらないと思ったからです。

    そこで今回はまず、以下の画像を見てもらうことにしました。いずれも左に『幼魚』を、右に『成魚』というふうに親子で横並びになっています。

    ≪ヘヘ~おいらがだれの子かわかった~?≫

    すごいですね!親子でもこんなに違うんですね~初めてご覧になる方もいると思います。上から一つづつ説明を加えましょう。

    まず『ツユベラ』ですが、幼魚はオレンジ色の体色に黒いラインでふちどりした大きな白い水玉模様が入っています。毒のあるヒラムシやウミウシに似せて泳ぎも特徴があります。これらは捕食者から身を守る知恵ですね!大きくなるとだんだん黒っぽくなり、泳ぎ方も変わります。

    次は『カンムリベラ』です。一目で親子のデザインが大きく異なるのがわかると思いますが、幼魚は体の後方に目玉模様が二つあり、捕食者を混乱させます。大きくなると緑っぽく変化し目玉模様もなくなります。

    パラオなどミクロネシアの海で群れが見れる『マダラタルミ』ですが、幼魚は黒と白のパンダ模様の可愛いデザインです。やはり、ヒラムシやウミウシに似せた泳ぎ方です。大きくなると、はっきり言ってあまり可愛いとは言えませんね!

    続いて、『チョウチョウコショウダイ』の幼魚ですが、体色は薄い茶色で、濃いこげ茶のふちどりの中に大きな白い水玉模様でとっても可愛いです。大きくなるにつれて落ち着きのある泳ぎ方に変わり、こちらも親になると可愛いとは言えません。

    黒と黄色のストライプで可愛い『コロダイ』の幼魚も大きくなると全く異なる体形・体色となり、いかにも美味しそうな立派な体形になります。(食べたことはありませんが…)

    名前の由来になっている縦縞模様の『タテジマキンチャクダイ』の幼魚は、縦縞ではなく渦巻き模様です。こちらは親の縄張り意識の攻撃から身を守るため、『私はタテジマキンチャクダイではない』と訴えているのです。親の攻撃から身を守るための変装とは可哀想過ぎます。でも、幼魚可愛いですね!

    最後は『アカククリ』ですが、幼魚は毒のあるヒラムシそっくりの体色で泳ぎ方まで似ています。真っ黒い体色でオレンジ色のふちどりの幼魚が大きくなるにつれて体形と体色が変化していくのが不思議です。本当にすごいですね!

    ≪おいらたち幼魚は可愛いでしょう~!≫
    ≪でも、ただ可愛い子ぶっているんじゃないよ~!≫

    確かに、お魚の幼魚はデザインといい、色といい可愛いものが多いですね。これら親と異なる体形・体色・泳ぎ方は、無事に育つための知恵であり、重要な役割なのです。

    捕食者から食べられないように、毒のあるヒラムシやウミウシに似せたデザインや泳ぎ方をして、必死に育っているのですね!

    人間社会では、可愛かった幼い頃の子供が大人になるにつれて、親によそよそしくなるとともに、親に似てくるのは世の親共通の寂しさと喜びだと思いますが、お魚さんたちの親も同じ思いでしょうか?

    -お生物講座086-

    投稿者 formosa : 15:34

    ツノダシやハタタテダイはなぜ帯模様?


    前回は隠れて身を守る方法として、岩のすき間や穴の中に隠れるお魚を紹介しましたが、『お魚もなかなか考えているな~』と、うならせる隠蔽(いんぺい)工作をお話しましょう!

    ≪ヘヘヘ、それほどたいしたことやっていないけど~≫

    いやいや、お魚さん!知らず知らずに自然と理にかなった方法で隠蔽(いんぺい)工作をしていますよ。

    まずは、比較的簡単な『シルエットを消す方法』からですね。いくら保護色などでカモフラージュして、『うまく隠れた?』と思っていても、影ができて輪郭がはっきりすればバレちゃいます。その点ヒラメやカレイは体が薄いので影はできにくいですね。

    シルエットを消す画期的な方法をとる、コバンヒイラギの発光が有名です。浅海性のヒイラギ科のお魚は、エラの後ろに発光細菌の共生による発光器をもっており、体の中から発光させることにより、まるでレントゲン撮影のように骨や筋肉を半透明にし光を透過しやすくしています。これにより、下から覗かれたとき輪郭をぼやかすことができるのです。すごいですね!!

    海面近くを群で泳ぐイワシやサンマは、背ビレ側が青黒く、お腹側は、白っぽくなっています。海上で狙っている鳥たちから海色にとけこみ目立たなくしており、下から狙う捕食者たちには、明るい水面にあわせてシルエットがでにくくしています。

    ひかりもののお魚が嫌いなアナタ!これで、海面近くを泳ぐお魚が、なぜ背が青黒く腹が白いか?おわかりいただけましたよね!いろいろ考えているんですよ~

    では、次の問題はどうでしょう?

    ツノダシやハタタテダイなど南の海に多いチョウチョウウオ類のお魚は、縞(帯)模様が多いのはなぜでしょう?

    周囲の色にとけ込む保護色での隠れ方は、動きの活発なお魚には不向きです。なぜなら、場所が変われば、かえって目立つことがあるからです。黒幕の前で目立たないようにしている黒子が、知らないうちにバックの幕が白幕に変わっていたらどうでしょう?

    うまく隠れているつもりが、

    ≪ありゃ~ぁ~!!≫

    ですね。そんな欠点を補うのが縞(帯)模様です。帯状に分断されたお魚の体色は、周囲の色彩が変わっても、体の輪郭がぼけて見え、捕食者たちには一匹の魚に見えにくいのです。更にそれらが群れていると効果覿面です。

    群れのシマウマを追いかけるライオンやチーターは、なかなか一匹に集中できないのも分断色の迷彩効果ですね!

    いかがですか?お魚さんたちは身を守るためにいろいろ工夫しているでしょう!連載でお魚さんたちの『身を守る・隠れる』をご紹介してきましたが、このシリーズはこの辺にしておき次回はおもむきの違うお話をしましょうね!何が出てくるかな?

    -お生物講座085-

    投稿者 formosa : 17:31

    隠れると言ってもいろいろテクニックが…


    前回までお魚さんたちの防衛手段、隠れる・身を守るの方法として、擬態を中心にお話してきましたが隠れる部分についてお話ましょう!

    ≪お魚の隠れるは奧が深いと先週言ったよね?≫

    そうですね!まず、ちょっと整理し復習してみましょう!

    【お魚さんたちの防衛手段】
    (隠れる・身を守る)

    ●岩のすき間などに隠れる
    ●岩、砂、海藻などにカムフラージュ
    ●自分の身に他の生物をつけて擬装する
    ●わざと目立つようにして他に化ける(擬態)
    1.ベイツ型擬態(有毒なものに化ける)
    2.ミュラー型擬態(似たものに化ける)
    3.ペッカム型擬態(助けるふりしてむしばむ)

    ≪何度も出てきたから、いい加減覚えちゃったよ~≫

    ん~!、それはありがたい。

    ●岩のすき間などに隠れる

    隠れると言うと単純に、岩のすき間や穴などの隠れ家で生活しているお魚たちがいますね!例えば、岩の穴などに住む『ギンポ』や、砂底の穴に住む『チンアナゴ』などがそうです。彼らは、それらの場所で捕食者の眼から逃れているのですが、穴から出ずにず~とそこで生活しているのでしょうか?

    なんか運動不足で、足腰が弱り、体もぶくぶく太りそうですね!

    ≪心配ご無用!うまくやっているよ!≫

    『ギンポ』などは、食事のときや、繁殖行動のときは、外に出かけるようです。しかし、『チンアナゴ』は頑固に穴に閉じこもり、砂底から体の一部だけを出し、ゆらり、ゆらりと体を動かしながら潮に流されているプランクトンを食べて暮らしています。

    ●岩、砂、海藻などにカムフラージュ

    この場合、周囲に応じて自分の体色を変えるタイプと、自分の体色にあった環境にいるタイプの二通りがあります。

    有名なのが、岩や砂の模様にそっくりになるカレイやヒラメですが、こちらは前者のタイプで、ヒラメの皮膚にはたくさんの色素細胞があり、自由自在に色と濃淡を変えることができます。

    その体色変化は実に不思議ですが、ちょっと飛び出し気味の目玉で周囲の色を感じとり、2~3時間かけて完全に周囲の岩や砂の模様に変えます。せっかく時間をかけて体色を変えたのに、我々ダイバーに見つかり、すごい勢いで逃げ去り別の場所に隠れるときは、また、やり直しです。ヒラメさん、ご苦労さまです!(*^_^*)

    でもよく見ていると、ヒラメさんも体色変化に時間がかかって面倒なのか、さっきいた岩と同じ色や模様の岩に着底しますね!

    後者は、藻類にそっくりな模様をしている『ハナオコゼ』などです。

    こういった隠蔽(いんぺい)色を利用して隠れているお魚たちは、捕食者が近づくまでギリギリ『フリージング(凍りつく)の状態』でほとんど動きません。もちろん、いよいよの時は、素早く逃走します。

    あなたのコンピュータも、よくフリーズしません?ちょっと関係ありませんでしたね。失礼しました!

    岩、砂、海藻などにカムフラージュするお魚は、同類で近くにいることは少なく、その理由は、隠れているのが見破られると、次から次と仲間が見つかるからと言われています。

    そう言えば、『ヒラメが群れでいたよ!』などというのは聞きません。

    周囲の模様にとけ込んでいても、泳いでいるようなお魚は、影でシルエットがはっきりしたり、輪郭がはっきりする場合がありますが、何か対策を講じているのでしょうか?

    それについては、結構面白いので次回お話しましょうね!

    -お生物講座084-

    投稿者 formosa : 16:28

    お魚さん!ニセ商標にお気をつけあそばせ!


    お魚さんたちの防衛手段、隠れる・身を守るの『カムフラージュ(模倣)と擬態』、連載でお届けしています。

    【お魚さんたちの防衛手段】
    (隠れる・身を守る)

    ●わざと目立つようにして他に化ける(擬態)
    1.ベイツ型擬態(有毒なものに化ける)
    2.ミュラー型擬態(似たものに化ける)
    3.ペッカム型擬態(助けるふりしてむしばむ)

    有毒・味がまずい・恐ろしいなどに見せかける擬態を『ベイツ型擬態』といい、有毒・味がまずい同士が共通のデザインを持つことを、ミュラー型擬態とお話しました。今回は、ペッカム型擬態です。

    ≪前置きはいいから…さっさと話してよ!!≫

    まあ、あせらないで下さい!

    以前、ホンソメワケベラがお魚の体についた寄生虫を食べてクリーニングしてくれるお話をしました。随分前ですので続けてお読みいただいている方は少ないと思いますが…

    それらクリーナーと呼ばれるお魚に、体形やデザイン、そして泳ぎ方まで真似て、クリーニングを希望するお魚に近づきクリーニングするふりをして、ヒレをかじり取ったりするひどいやからがいます。

    ≪オレの真似をして、そんなひどいことするのは誰だ!≫

    その名は、『ニセクロスジギンポ』です。

    そもそも、ホンソメワケベラは『クリーニング屋さんの看板(商標)』として、口先から尾びれにかけて黒い帯(帯の周りは黄色と青色)があり、頭をやや下に向けて後部を上下しながら泳ぐのが特徴です。お魚たちはそのクリニーグ屋さんの看板(商標)を知っている訳ですが、それに似せた『ニセの商標』を出しているのが、ニセクロスジギンポです。

    助けてあげるふりして皮膚や鱗をかじって失敬していくのです。ニセクロスジギンポは、捕食者に狙われずにすむ他、餌まで頂戴する抜け目ないやつです。これらの擬態をペッカム型擬態と言うのです。

    前回、前々回の擬態は、『身を守るための擬態』ですが、ペッカム型擬態は、変装して悪さをするずうずうしい擬態です。

    (ニセクロスジギンポ )
    ≪そんな悪く言うけど、人間社会にもあるだろう!!≫

    う~ん!確かに…

    老人介護保険制度の申請をしてやると言って、お金を騙し取る詐欺…落ち込んでいる人や酔っぱらって気分の悪くなっている人に、『きみ、大丈夫?』と優しく近づくオオカミ○○○…

    人間社会では、ペッカム型擬態は犯罪または、嫌われる行為ですが、お魚の世界ではこれも身を守り、生きるための彼らの知恵ですね!

    身を守るために、わざと目立つようにして他に化ける擬態について、だいぶ理解してくれたと思いますが、いかがですか?

    『えっ?やっぱりわかりにくい?』

    それではもっと単純に、見つからないように隠れてしまえ~!!この隠れる方法を最初に戻ってお話しましょうね。この隠れると言うのは、人間のかくれんぼうと違って奥が深いのです!

    どう奧が深いのかは、次回お話しましょうね!

    -お生物講座083-

    投稿者 formosa : 17:23

    お魚たちの共通商標は効果的?


    お魚さんたちの防衛手段、隠れる・身を守るの『カムフラージュ(模倣)と擬態』ですが、

    【お魚さんたちの防衛手段】
    (隠れる・身を守る)

    ●わざと目立つようにして他に化ける(擬態)
    1.ベイツ型擬態(有毒なものに化ける)
    2.ミュラー型擬態(似たものに化ける)
    3.ペッカム型擬態(助けるふりしてむしばむ)

    前回は、有毒・味がまずい・恐ろしいなどに見せかける擬態『ベイツ型擬態』をお話しましたが、今回は、ミュラー型擬態(似たものに化ける)についてお話します。

    ≪ミュラーさんね!今度はなんて言ってるの?≫

    食べると、まずいゾ~! 毒があるゾー! とはったりをかまし、警告している無毒なものや、まずくないお魚の擬態が、『ベイツ型擬態』でしたが、学習能力のないやからが間違って食べてみると、本当にまずかったり、有毒のものがあります。

    彼らは、そもそも有毒だったり、味がまずいのに、なぜ似る必要があるのでしょう?

    ≪世の中には、学習能力の弱いやつが多くてね~≫
    ≪それに一度食べられてみないと覚えてもらえないのもね~≫

    そうなんです!捕食者は一度食べてみて『このデザインは、まずい!』
    と後悔し学習します。次にまた別のデザインのお魚を食べ『ありゃ~こいつもまずいぜ~!』と、次々に後悔をしながらまずいお魚を覚えていき、それらを2度と食べなくなります。

    失敗の経験を重ねて、学習し知識や技術を身につけることは良いことです。松とうちゃんも何度となく失敗を繰り返してきました。

    失敗すれば、後悔し2度と同じ過ちをしなければいいのですが、食べられる方は、たまったものではありません!

    ≪そうだよ~~よく気がついてくれました!≫
    ≪そこで、オレたち魚も、いろいろ考えたわけよ~≫
    ≪人間社会でもあるだろ~?優良マークとか…≫
    ≪オレたちも共通した『まずいよマーク』を作ったわけよ≫

    同じ特徴のお魚が、有毒です!まずいです!という共通した商標をつけていることによって捕食者は、その共通商標を1回食べることで、学習しますので、食べられる側の犠牲者は最小限に抑えることができます。

    有毒・味がまずい同士が共通のデザインを持ち、似せ合うことをミュラー型擬態といいます。

    このミュラー型擬態は、近縁種同士に多くみられ、例えば、背ビレの棘に強い毒を持つ、ミノカサゴの仲間は、みんな長い背ビレを広げ、海中を優雅にただよい毒を強調しあいます。これらはミュラー型擬態と言えると思います。

    また、ミアミラウミウシやニシキウミウシなどは、お互い似た美しい警告色彩で強調し、アオウミウシなども強烈な青色の警告色彩で毒性物質をもつことを強調しており、これらもミュラー型擬態と言えるのではないかと思います。

    若葉マークをつけた車をみれば、『あっ!初心者マークだ、気をつけよう!』という風に、共通マークや共通商標で、同じ性質を知らしめることができますが、お魚達やウミウシのミュラー型擬態も同じようなものではないでしょうか!

    ≪難しいことはわかんないけど、そんなとこかな…≫

    ≪ところで、ペッカム型擬態ってのは何だい?≫

    それは、次回にしましょう!

    -お生物講座082-

    投稿者 formosa : 16:48

    お魚たちの登録商標はコピー可能ですか?


    前回紹介したお魚さんたちの防衛手段、隠れる・身を守るの『カムフラージュ(模倣)と擬態』を、ちょっと整理しましょう!

    【お魚さんたちの防衛手段】
    (隠れる・身を守る)

    ●岩のすき間などに隠れる
    ●自分の身に他の生物をつけて擬装する
    ●岩、砂、海藻などにカムフラージュ
    ●わざと目立つようにして他に化ける(擬態)
    1.ベイツ型擬態(有毒なものに化ける)
    2.ミュラー型擬態(似たものに化ける)
    3.ペッカム型擬態(助けるふりしてむしばむ)

    おやおや、またまたいつものようにお勉強口調になってきましたよ!
    松とうちゃんの悪い癖ですね~!反省、反省!(*^_^*)

    ≪ベイツ?ミュラー?ペッカム?、何んだ~それ?≫

    生物学者が生物の擬態について発表した概念ですが、それぞれの生物学者の名前がつけられているのですね。

    わざと目立つようにして他に化ける(擬態)の中で、まずご紹介したいのが、『ベイツ型擬態』です。

    有名なのが、毒を持つ『シマキンチャクフグ』にそっくりになる、毒のない『ノコギリハギ』は、このベイツ型擬態と言えます。

    ≪なんでまねすんだよ~?≫

    お魚社会の捕食者たちは学習能力によって『シマキンチャクフグ』に毒があるのを知っています。当然、捕食者達は『シマキンチャクフグ』を襲わないわけですがそれに目をつけた無毒の『ノコギリハギ』は、

    ≪あいつに似せたら襲われないじゃん!!≫

    と考え、『シマキンチャクフグ』そっくりのデザインとなったのです。このデザイン(色)は、標識色(警告色)で、

    ≪このデザインのオレを食べたら危ないゾ!!≫

    と『シマキンチャクフグ』の有毒という登録商標を勝手に利用し、本当は無毒でありながら、有毒という警告をしているのです。

    このように、わざと注目をひいて、有毒・味がまずい・恐ろしいなどに見せかける擬態を、イギリスの生物学者ヘンリー・W・ベイツは、論文発表し、『ベイツ型擬態』と言われています。

    恐そうな『ハナビラウツボ』に、そっくりな模様の『シモフリタナバタウオ』もベイツ型擬態ですね。

    でもまねされたシマキンチャクフグは迷惑でないのかな?

    ≪そうなんだよな!!間違って、まぬけなやつがだよ…≫
    ≪あいつ(ノコギリハギ)を食べて…≫
    ≪な~んだ!このデザイン食べても平気じゃん!≫
    ≪てなことになったら、オレ様に毒のあること忘れて≫
    ≪襲ってくるんじゃないかと、心配で心配で…≫

    その時は、アンタに毒があるからいいんじゃないの?

    ≪何言ってるんだよ~いくら食べて相手が学習するといっても≫
    ≪一度は食べられる、オレ様の身になってみろよ~!≫

    たぶん真似されたシマキンチャクフグやハナビラウツボは、迷惑を被ることはないと松とうちゃんは思っています。

    このような目立つように警告色をするものは、私たち人間社会でもありますね!

    例えば、警備会社の車や制服がパトカーやお巡りさんの制服に似せているのは、だだ恰好をつけているのではなく、悪者に『おっと警察?やばい!!』とけん制させる意味もあるのだと思います。これらも動物学的にはベイツ型擬態です。

    ≪じゃあ、松とうちゃん!ミュラー型擬態って?≫

    その話は、長くなるのでまたこの次にしましょう!

    -お生物講座081-

    投稿者 formosa : 16:02

    お魚の登録商標はどうなっている?


    このお生物講座も今回で第80回を迎え、お魚たちの不思議な生態もだいぶわかってきたのでは…

    お魚たちの声を代弁すると、≪まだまだ、そんなもんじゃないよ!≫
    ≪オレたちの不思議な世界は海より深いんだよ~!!≫

    そんなお魚たちにハッパをかけられながら、松とうちゃんは第100回を目指して頑張るのです!(^_^)

    そこで、今回から、生物の防衛手段(隠れる・身を守る)とも言える『カムフラージュと擬態』をシリーズでお届けしていきます。連載で気張って書きますので楽しみに読み続けて頂戴ね!!

    そもそも、『カムフラージュと擬態』ってな~に?そんなところから始めましょうか。でも難しい話しは止めにしましょうね!(*^_^*)

    カムフラージュは、保護色などでその存在を目立たせないこと。(本当の姿、心情を悟られないようにし人目をごまかすこと)擬態は、何かに化けてたり似せたりすることですよね!

    カムフラージュ(模倣)と擬態は、  ゴッチャになってどっちがどっちかわけわからん!!

    ≪そんなこと言うなよ~人間社会にもあるんじゃあないの?≫

    そうです!お魚さんが言うように私達のもありますね。例えば迷彩色でジャングルにとけ込む軍人さん、これは間違いなくカムフラージュですよね。

    田舎道を車で飛ばしていて、お巡りさんの恰好をした立ち看板や廃車になったと思われるパトカーを見て、ついブレーキペダルに足をかけることありませんか?

    これらは、本当のお巡りさんや動くパトカーに似せた『擬態』とも言える警察の知恵です。(たいしたことない?)

    う~ん~!それでもわからん!!

    ◆ カムフラージュ(模倣)-隠蔽(いんぺい)的機能

    何かに似せて隠れてしまう工作

    ◆ 擬態-標識的機能

    何かに似せてわざと目立たせる工作

    ヒラメやカレイが砂や岩と保護色になって目立たなくするのも、カミソリウオやタツノオトシゴが海藻とそっくりになるのも、岩とほとんど見分けのつかないイザリウオやオニダルマオコゼも、そして、毒のあるシマキンチャクフグに似せているノコギリハギも、日本語的には、みんな『擬態(他に似せる)』になるのですが、

    動物学的に区別すると、カムフラージュ(模倣)と擬態に分かれるのです。

    ますます分かんない!(?_?) 混乱させるな~!!

    はい、ごもっとも。分かりづらくしているのは、松とうちゃんです。ごめんなさいです!前述の例で言うとノコギリハギ以外は動物学的に言うと全て、カムフラージュ(模倣)となります。つまり、ノコギリハギは毒のあるシマキンチャクフグに似せて積極的に見つかるようにしています 。これを標識的機能(擬態)として区別しているのです。

    ≪ほれ、人間社会にもあったでしょう?≫

    お魚さんが言うのは、以前あったこんな事件です。有名なメーカー、『LION』の商標に似せて『NOI7』という登録商標をとって、品質の悪いにせ商品(歯磨き)を販売し、消費者は上下反対にして手にとると『LION』に見えることから、ライオンに品質の悪さを苦情する→メーカーはやむを得なく登録商標を買い取る。目的は違いますが、積極的に似せて目立つようにする動物学的な『擬態』です。

    ん?今回のテーマで表題の『お魚の登録商標』はどこでつながるの?とお思いでしょうが、その辺のお話は次回で詳しく!

    -お生物講座080-

    投稿者 formosa : 17:52

    テッポウエビの敗北的な性転換?


    ハゼとの共生関係で有名な『テッポウエビ』は、砂泥底などに開けた穴に住んでいる種の他、その仲間にサンゴやウミシダ類、ウニ類に住んでいるものがいます。

    『テッポウエビ』は、テッポウエビ科のエビで各地の沿岸に分布し、砂泥底に穴を掘って住み、体長約五センチメートル、甲殻は平滑で、額は退化して短く、はさみ脚はどちらか一方が強大となり、ぱちぱちと特有の鋭い破裂音をさせます。

    『テッポウエビ』の仲間に『ムラサキヤドリエビ』というエビがいますが、性転換などその生態が面白いです。

    『ムラサキヤドリエビ』はムラサキウニの棘(とげ)のすき間に住み、ムラサキウニと同じく紫色をしています。この紫色は、ウニから離して飼育するとだんだん色あせていくことから、ウニの体の一部を食べ色素源を得ているではないかと言われています。

    『ムラサキヤドリエビ』の繁殖行動は、ムラサキウニにオス・メスがペアで住んでいるか、その時だけ一緒のウニにいて行われます。

    生まれた稚エビは、繁殖中のオスやメスと同じウニに居れますが、大きくなると大型のオスから追い出されてしまうようです。

    小さなエビはみなオスで、大型のオスから攻撃を受けないようにと棘の間のとても狭いすき間に入り込んでいます。徐々に成長していくオスはやがて大型のオスと、交尾相手のメスをめぐって戦わなければなりませんが、差ほど大きくなれず戦いに敗れたエビは、オスとしての生きる道を失いメスに性転換していきます。

    全てがオスからメスに性転換するわけではなく、繁殖チャンスを狙って小型オスのまま大型オスと同居しているものもいます。体の小さいオスは、メスになっても数個の卵しか産めませんので、大型オスの生殖能力が衰えるケースを期待し、バックアップとして待機しているのかも知れません。

    クマノミなどのオスからメスへの性転換は、いわば出世ですが、このエビの場合は、昇進席のポストを無くした敗者の性転換と言えるのではないでしょうか?

    それにしても、この『テッポウエビ』の仲間、『メスとして生きるべきか?オスとして生きるべきか?』繁殖の損得勘定で性転換を決めているのには驚きです。

    -お生物講座079-

    投稿者 formosa : 16:47

    少ない光でも見えるキンメダイの秘密?


    身は脂に富み、お刺身や煮付けで食べると美味しい『キンメダイ』は、美しい体色から『タイ』同様にお祝い事に用いられることがあるようです。

    『キンメダイ』は北海道釧路以南、世界の暖海域に生息していますが、松とうちゃんの故郷青森では、スーパーなどでおなじみのお魚で、キンメダイの煮付けが大好きでした!

    成魚は水深200~800mの深い岩礁域に生息していることから、我々ダイバーは水中でほとんど目にすることはありませんが、たてはえなわ漁などで漁獲されるそうです。

    スーパーの鮮魚コーナーやお魚屋さんで並んでいる『キンメダイ』は、全体が鮮紅色で美しい色をしていますが、海中で泳いでいるときは、背が朱色、腹は真っ白でなお艶やかです。

    『キンメダイ』は、光の弱い深海でも、少ない光でものを見ることができます。網膜の色素上皮層にタペータムと呼ばれるグアニンからなる光の反射層をもっていて、眼に入ってきた少ない光を反射させ、出ていくときにもう一度その反射光を利用するという原理です。

    『キンメダイ』は目が大きく瞳孔は緑色ですが、水上では金色に光って見えることからこの名があります。

    背びれは一つで、しりびれは前後に長く、おもに胸ビレを使って泳ぎます。

    産卵期は7~10月で抱卵数は100万~500万粒と多く数十万粒ずつ数回に分けて産卵します。稚魚から幼魚までは背ビレと腹ビレの軟条の一部が糸状に突出し、この時期のものが『糸引きキンメ』と呼ばれているのです。

    先日伊豆半島の稲取というところで、地物の『キンメダイ』が縁起ものとして紹介されていましたが、『タイ』より高級魚になった『キンメダイ』は、お刺身にして良し!シャブシャブで食べても良し!もちろん、煮付けて良し!と聞かされ、松とうちゃん、キンメダイがとっても恋しくなりました!

    -お生物講座078-

    投稿者 formosa : 15:40

    一夫多妻、イトヨ君のお父さんは冷たい?


    トゲウオ科の仲間に、イトヨ君、トミヨ君のようにまるで人の名前のようなお魚がいますが、繁殖行動が面白いので紹介します。

    『イトヨ』は、体長6~9cmで背ビレに発達した3本の棘(トゲ)と1対の腹ビレの棘をもち、体側には大きな鱗(うろこ)が尾の付け根までならんでいます。

    トゲウオ科のお魚は、淡水で一生すごす陸封型、淡水と海を往復する回遊型、そして海で一生をすごす海水型がいますが、陸封型イトヨは、福島県会津の河川や湖沼に生息、また、福井県の生息地は国の天然記念物に指定されています。

    『イトヨ』のオスは、春から夏にかけて、水底にスリバチ型の穴をつくり、そこに水草の茎や葉をトンネル状にして産卵巣をかまえます。巣草を固めるために、自らの腎臓で分泌される粘液を接着剤として使うのです。
    巣は一方だけに直径1cmほどの入口を用意し、1~3日くらいかけて作ります。

    巣の用意ができると、オスはジグザグダンスと呼ばれる求愛行動でメスを巣に誘い、それに応じるとメスは一人(一匹?)で巣にはいり卵を産みつけるのですが、生み終わると、さっさとオスに巣から追い払われます。
    そして産卵という一大事業を終えたメスは悲しいかな、まもなく死ぬのです。

    これから先は、オスが懸命に卵を守り、ふ化し巣の外に仔魚が元気に泳ぎでるまで保護するのです。一切を男手ひとつで育て上げます。オスは無事に幼魚を育て上げてからほどなく死んでしまいます。

    オスはときには、数尾のメスに産卵させるのですが、一緒に巣に入ることはなく、1回もメスと交わることはありません。求愛行動でメスを呼び、産卵させ、そしてすぐメスを追い払い、男手で育てる。これらの繁殖行動は、子孫繁栄のためとはいえ、ちょっと寂しさを感じるのは松とうちゃんだけでしょうか?

    -お生物講座077-

    投稿者 formosa : 16:28

    見慣れているニザダイの生態侮る無かれ!


    三宅島や八丈島の浅い岩礁地で、ときには大きな群れとなって泳いでいる『ニザダイ』は、ダイバーには見慣れたお魚と思います。

    伊豆七島や伊豆半島などでも普通に見られるので、あまり気にかけることもないと思うのですが、数百匹の群れで回遊しているときに遭遇しますとかなり圧巻です!

    『ニザダイ』は『ニザダイ亜目』の『ニザダイ科』に属するのですが、『ニザダイ亜目』にはなんと、ツノダシ科、アイゴ科、アマシイラ科がつらね、チョウチョウウオの体形に似ているツノダシ科魚類と同じグループとは驚きです!

    ちょっと脱線しますが、ツノダシの和名はどうしてついたかおわかりでしょうか?

    ☆鎌のような曲線を描いて伸びる背ビレが特徴でその名がついた説、
    ☆眼の近くに突き出ている一対の角(つの)からその名がついた説

    というのがありますが、松とうちゃんはどちらかわかりません!いつもどうしてツノダシ?と考えてしまいます。

    さて『ニザダイ亜目』のお魚は、共通して体がいちじるしく側扁し、口は小さく、主に熱帯~亜熱帯域のサンゴ礁や岩礁に生息しています。

    『ニザダイ』は、日本中部以南から台湾の岩礁域に生息しますが、沖縄では少ないのではないでしょうか?あまり見ませんね!

    『ニザダイ』の体長は30~40cmに達し、体高は比較的高いのが特徴です。尾ビレの付け根には鋭い棘(とげ)が体表の溝にしまってあり、ナイフのような突起をもつ骨質板というものもあります。磯釣りなどで釣り上げることもあると思いますが、不用意につかむと手を切る可能性がありますので注意が必要です。

    この尾ビレの付け根にある4枚の骨質板はそのうち3枚が白く顕著で、漁師の間では、『サンノジ』と呼んでいます。

    歯は小さいが鋭く岩についた藻類を食べています。そのせいもあって、藻食魚独特の磯臭さがあり、あまり食用にはむかないようです。先日、八丈島で誰かが『いや食べますよ!』と言っていたのを思い出しました。地方によっては美味しく食べる料理法があるのかも知れませんね。

    『ニザダイ』の成魚は黒に近いグレーといった体色ですが、幼魚は半透明で体高もより高く、背ビレと尻ビレの棘(とげ)がとても長く、『アクロヌルス期』という独特の時期を過ごします。

    この幼魚と成魚の変化はかなり特徴的で面白いのですが、写真などでお見せできないのが残念です。

    ごく普通にみられるお魚も、その生態など良く観察すると結構新しい発見があるかと思います。皆さん!いかがでしょう?

    -お生物講座076-

    投稿者 formosa : 15:02

    ハマグリは碁石の母、蜃気楼の名付け親?


    先日、行きつけの寿司屋さんのカウンターで、幸せそうなカップルが、『ハマグリ4個焼いてくれる?』と注文すると、板さんが『高いけど、4個もいいのかい?』と心配しながら焼いていました。

    出された焼きハマグリを見て、『すごい!こんなに大きいの?』そのカップルが喜んで言うとすかさず板さんは『これでも小さい方だよ!昔はもっと大きかったんだよ!』

    そんな会話を聞いていたら、『ハマグリ』について紹介したくなり、今回のテーマとなりました。

    『ハマグリ』は、皆さんご存知、海岸の屋台や浜食堂でよく焼きものなどとして売られている二枚貝ですね。

    『ハマグリ』の貝殻は、上等な碁石の白石の材料になっていました。それだけ、貝殻は厚く、そして堅く大きかったのです。最上の材料となっていたのは、チョウセンハマグリですが、今ではそのチョウセンハマグリも少なくメキシコハマグリにとって代わられたようです。

    『ハマグリ』は『マルスダレガイ科』に属し、北海道南部以南の日本全土の沿岸に分布し淡水のまじる湾内干潟にすんでいますが、沿岸の都市化による干潟の減少や環境汚染で、現在では生息地が大幅に減少してしまいました。

    25年前ごろには年間1万トンもの水揚げあり、庶民の友として食卓に普通に並んでいたようですが、今では『希種』な存在です。

    『ハマグリ』は、殻長8cm、殻高6cm、殻幅4cmぐらいまで成長し、形は亜三角形で丸みがあります。以前にも紹介しましたが、殻長・殻高・殻幅、どこの長さかおわかりになりますか?

    2枚貝の場合、2枚の殻の付け根とも言うべき蝶番歯の連結部分の靱帯(じんたい)を下にして上下方向を高さ、2枚の殻の厚さを幅と、表現します。つまり、片方の殻を底にして反対側の殻を直角に大きく開いた状態を想像して、その時の高さを殻高と呼ぶのです。

    殻表は光沢の強い殻皮に覆われ、色彩や模様は変化に富みます。平安時代に行われた遊び『かいあわせ(貝合せ)』に、ハマグリの貝殻を使っていたのは、いろんな模様があって奇麗だったからでしょうね!ちなみに『ハマグリ』は隠語で女性を、『かいあわせ』は、女性の同性愛を意味するそうです!

    松とうちゃんが、幼いころは、『ハマグリ』の貝殻に飴などを入れたお菓子が駄菓子屋さんでよく売っていました。

    貝殻を合わせると毛抜きの代わりになって便利ですよ!おっと!どんどん脱線していきましたので、この辺で『ハマグリ』の産卵と成長と、不思議な生態をちょっと紹介しましょう!

    体外受精をし産卵期は6~10月、卵の直径は60マイクロメートルと小さく、殻長2cmくらいになるのに約1年かかります。寿命は7~8年くらいですが、大きな『ハマグリ』に成長するには何年もかかるのです。

    呼吸や食事のため入水管と出水管で水の出し入れをしています。

    『ハマグリで海をかえる』という言葉があります。ハマグリの貝殻で海の水を汲み出し、海の水をかえると言う意味で、いくら努力しても無駄なことのたとえです!

    『ハマグリ』も『アサリ』も同じ淡水が流れ込む湾内干潟にすんでいますが、なぜ『ハマグリ』だけが、激減したのでしょうか?

    『ハマグリ』は『アサリ』より環境汚染に敏感で、環境が大きく変化すると新しい良い環境を求めて大移動をします。二枚貝の『ハマグリ』がどのようにして大移動するのでしょうか?

    まず、環境が激変したなと感じると(ハマグリが…)多量の粘液を出し、それが1~3mの長さの紐(ひも)状になり、その紐が抵抗板として働き、落潮流に引かれいっきに長距離を移動(流れに乗って)すると言う特殊な能力を持っているのです。

    皆さんご存知と思いますが、光の異常屈折現象で、砂漠で遠くにオアシスが見えるような『蜃気楼(しんきろう)』は、その昔、蜃(大はまぐりのこと)が気を吐いて楼閣を描くと考えて名づけられたものなのです!先ほどの『ハマグリ』の出す粘液の紐が、蜃気楼の名付け親だったのです!どうです?ビックリでしょう!

    漢字で書くと『蛤(浜栗)』、英名はclamshell 、クラムチャウダーで有名な『ハマグリ』が庶民の友から手の届かない伝説の貝になってしまわないかと松とうちゃん、ちょっと心配になりました!

    -お生物講座075-

    投稿者 formosa : 17:12

    一夫多妻制のカワハギさんお疲れさまです!


    皮をはがないと食べられないことからその名がついたお魚『カワハギ』は冬の鍋物としてお目見えすることが多いと思います。
    松とうちゃんは『カワハギ』と聞くと、頭と皮をとって開いた干物を思い浮かべますが、軽くあぶっておやつに食べるのが好きでした!

    『フグ目』の『カワハギ科』に属するフグに近い仲間だけあって、肝をつぶして一緒にお刺身として食べればその美味しさは逸品です。松とうちゃんは、フグより美味しいと思っていますし、大好きです!

    お魚屋さんや、スーパーなどの鮮魚コーナーにほとんど並んでいますのでひし形をした『カワハギ』の体形はよくご存知のことと思います。また、おちょぼ口で餌盗り名人として釣り人には馴染みが深いお魚と思いますが、ダイバー以外、その泳ぐ姿や行動パターンについては、よく知られていないのではないでしょうか?

    ほとんどのお魚は一対の腹ビレがありますが、『カワハギ』は、短く動く棘(トゲ)を持つ単一の腹ビレが特徴です。

    前の背ビレには、立てたりたたんだりできる長い棘(トゲ)があり、敵を威嚇(いかく)したり、身を守るのに便利そうです。

    甲殻類・貝類などを好んで食べますが海中で観察しているとおちょぼ口の突きだした口で、砂底に水を吹きかけ突っついて餌を探す姿が、よく見られます。やや斜めに口を下に尾ビレを上にした恰好ですが、そんなお食事タイムには触れるのではないかと錯角におちいるほど、夢中になって食べています。

    ここで『カワハギ』のオス・メスの区別の仕方をご紹介しましょう!

    長い棘(トゲ)の後方に続く2番目の背ビレの前側にスジがはみ出し長く伸びているのがオスです。メスにこの伸びたスジはありません。

    『カワハギ』のオスは、岩礁まじりの砂底に大きな縄張りを形成し、隣あう縄張りのオス同士が境界線で出会うとお互い威嚇しあいます。威嚇するときは一瞬のうちに体表に黒い斑点が現れ、それぞれが相手の尾ビレを追いかけるようにしますので、クルクルと小さな円を描いて回ります。まるでイヌが自分の尻尾を追いかけて回っているときのように奇妙です。

    オスの大きな縄張りの中には、数匹のメスの縄張りがあり、その中で繁殖行動がとられます。つまり、一夫多妻制なのです。『カワハギ』のオスさん、なんて羨ましい制度でしよう!(*^_^*)

    『カワハギ』の産卵は、春から初夏にかけて観察されるようですが、その産卵行動についてお話します。

    産卵の1時間前くらいになると、メスは砂底の砂を口に出し入れし、産卵場所を整えます。やって来たオスは、背ビレの棘(とげ)を立てたり閉じたりして求愛し、産卵場所が確認されたらお互いお腹をあわせるようにしてペア産卵をします。

    放精・放卵は2~3秒ですが、生み出される卵の数は約3万個とものすごい数です。

    産卵を終えるとオスはその場を離れますが、メスは産卵したばかりの砂底の真上で体を斜めに傾け、ヒレで砂をかき混ぜ、卵が外敵にやられないようにしてから立ち去ります。ふ化までは約3日間です。

    産卵時期になると、縄張りを持たないメスも、オスの縄張りにやってきて産卵し、産卵を終えると立ち去っていく訪問メスもいるようです。

    一夫多妻制の他に訪問メスまでお相手をする『カワハギ』のオスは、幸せものでしょうか?それともお疲れさん?どちらにしても子孫繁栄のため、一所懸命なのですね!

    東京上野の『アメ横』に、カワハギの干物がたくさん並んでいるのを初めて見たときは、たくさんいるお魚だな~と思ったものでしたが、海中では、一所懸命子孫繁栄に努力しているカワハギさんでした!

    -お生物講座074-

    投稿者 formosa : 16:08

    逆立ち名人のヘコアユは神経質?


    一般的に食用にはしませんが、水族館などで鑑賞用として、また、ダイバーのフィッシュウオッチングの対象として人気の高い『ヘコアユ』というお魚をご存知でしょうか?

    頭を下にし逆立ちした恰好で浮遊姿勢をとる変わったお魚です。

    『ヨウジウオ目』の『ヘコアユ科』に属するお魚で、太平洋西部からインド洋、日本では相模湾以南に分布し、沖縄などでは、サンゴ礁の浅瀬にいるガンガゼ(棘の長いウニの仲間)のトゲの間に隠れていることが多いです。

    数匹から数十匹で群れで、サンゴ礁や砂地を逆立ちしながら泳いでいる姿を見かけると、奇妙でちょっと楽しいですね!

    『ヘコアユ』は、体を左右から押しつぶしたように平らで、うろこはなく、甲板と呼ばれる背骨とつながった固くて透明な『よろい』でおおわれています。よく見ると、まるでエビのような甲殻類に見えます。

    英名は、『Shrimp(エビ)fish』ですが、まさにエビに見えるからその名がついたものと思います。

    生きて動く小型の動物プランクトンや小型甲殻類を好んで食べていますが、管状の長い口先で吸い込んで捕食します。

    『ヘコアユ』で不思議なのは、その体の構造です。

    普通のお魚は、一番後ろに尾ビレがあり、その手前の背上に背ビレ、手前下側(お腹側)に尻ビレがあるのですが、『ヘコアユ』の場合は、一番後ろに背ビレの棘(とげ)が長くのびており、お腹側に背ビレ、尾ビレ、尻ビレ、腹ビレと続きます。

    生まれたての稚魚のときは、普通のお魚のように尾ビレが一番後ろにあるのですが、成長とともに各ヒレが下(お腹)の方に移動していきます。

    読んでいて想像つきますでしょうか?

    ナイフの刃のようなに薄い体で、上は背ビレのトゲが真っ直ぐ上にのびて、下は口、の逆立ち姿勢で背中を前にして進んでいくのですが、後ろ(お腹側)の小さな背ビレ、尾ビレ、尻ビレ、腹ビレをいっせいに動かして前に進むのです。

    急ぐときや敵におそわれたときは、水平に近い姿勢で泳いで逃げます。

    『ヘコアユ』は、比較的水のきれいな浅場で、ガンガゼの棘のようなかくれ場にかくれていることが多く、とても神経質なお魚です。敵が近づくと、相手に自分が最も薄く見えるように向きを変えるため、水中での写真は、太めに見える向きでのシャッターチャンスは少ないと思います。松とうちゃんも薄く見えるように写りた~い!(*^_^*)

    オスがメスの横に並ぶようにして求愛している姿は、映画の『シャルウィダンス?』を思い出してしょうがありませんが、松とうちゃんだけでしょうか?

    -お生物講座073-

    投稿者 formosa : 16:05

    シイラが家の財力を表す?シイラ漬けって?


    沖合いの表層で生活し、比較的きれいで、温暖な海域に生息している『シイラ』はダイバーにはあまりなじみはありませんが、釣り人には、ゲームフィッシュングの対象として人気ではないかと思います。

    今回はそのちょっと珍しいお魚『シイラ』についてお話しましょう!

    『シイラ』は、『スズキ亜目』の『シイラ科』のお魚で北海道を含む日本各地の海から世界の温暖海域に分布し、体長80cm~2mです。

    ちょっと変わった形のお魚で、体は細長くよく側扁し、背ビレは頭部背面から尾の近くまでひとつづきになっています。オスは成長に伴い前頭部(額)がいちじるしく前に張り出しますが、メスは成長しても額は張り出しません。ちょっと変わった頭の形から、『鬼頭魚』とも呼ばれるています。

    『シイラ』を釣り上げた方はお分かりと思いますが、背は濃青色で、体側からお腹のほうにかけては白っぽい金色で、青色の小さな斑点があります。とても美しいお魚ですね!でも釣り上げてまもなくすると、青色は黒く、そして金色はくすんだ山吹色になり生前の美しさは消えていきます。

    『シイラ』は成長がはやく、1歳で70cm、2歳で120cmにもなるようです。最大で2mほどにも成長するのですからビックリです。

    産卵は、日本近海では春から夏にかけて行われ、生まれたての稚魚は、海面の流れ藻について成長し、最初のうちは動物プランクトンを食べ大きくなっていくとともに、他の仔魚、そして、流れ藻についているカワハギやギンポを餌にするようになります。大きくなると、表層のイワシなどを好んで食べますが特にトビウオが好物のようです。

    ところで皆さん、『シイラ漬け』というのをご存知でしょうか?

    『シイラ』の塩漬けにしたものではありません!

    海底に沈めた石俵などにつないだ、長さ3~8mほどの竹数十本を幅1m、高さ60cmほどにたばねて漬木とし沖合いの海面に浮かせ、この竹束の陰に集まってくるシイラを網や釣りなどの方法で捕らえる漁法のことを古くから『シイラ漬け』と言うのです。面白いですね!

    日本では、夏に美味でとりたてをお刺身でいただくようですが、世界各地で塩干物にして保存食とされています。

    台湾の太平洋に浮かぶ『ランイ島』では、このシイラ漁が盛んでほとんどの島民の軒先には、『シイラ』が干してあります。『シイラ』は、背のところがお腹より身が厚く日本のアジの干物などのような腹開きでは、乾く前に腐ってしまいやすいので、台湾では背開きにします。アマダイやエボダイも背開きが多いですよね!

    台湾の島では冬場の食料としてこのシイラの塩干物は重要で、軒下に並ぶシイラの干物の数で、その家の財力を示すと聞いたことがあります。今では島への流通も発達し、そんなことはないかもしれませんが、2~3階立ての奇麗に並ぶ新築の家にも、シイラが干してあるので、松とうちゃんはいつも不思議な感じがしていました。

    沖合いの奇麗な海でしか見れない『シイラ』の美しい姿と、美味といわれるお刺身が恋しくなってきました!(*^_^*)

    -お生物講座072-

    投稿者 formosa : 17:02

    セピア色はスミイカが創り出す染料?


    先日テレビでイカ釣りを紹介していました。なので?松とうちゃんの好きな『コウイカ』をテーマにしました。

    頭足類(イカ網)の『コウイカ目』、『コウイカ科』の仲間に、コブシメ、トラフコウイカ(モンゴウイカ)、コウイカなどがいます。

    『コウイカ科』の仲間は、背中に石灰質の舟形の貝殻(甲)を持っているのが特徴です。熱帯から温帯の海域まで広く分布し、沖縄をはじめ亜熱帯海域では、コブシメが良く見られると思います。

    松とうちゃんが、先週末に千葉県明鐘岬の海で見た『コウイカ』は、別名『スミイカ(墨烏賊)』と呼ばれるもので、イカの中でも驚くほど墨を多くはくことからその名がついたようです。

    実際、驚かせるとかなりの量の墨をはきしばらくは海中が黒く濁ってしまいなかなか澄みません。

    『コウイカ』の学名は、Sepia esculenta と言い、その墨が染料として使われているため、それから創り出される色をセピア色(Sepia )と呼ばれるようになりました。『コウイカ』の墨は、インクとしても使われているのです。

    お刺身など食用としても美味しい『スミイカ』ですが染料やインクに使われている、しかもそれがセピア色とは驚きでしょう!

    関東の海などで、春先~初夏にかけて良く見られる『アオリイカ』などの卵は、数珠状というかソーセージみたいにつらなっていますが、『スミイカ』の産卵は、コブシメのように1個づつ卵を海中に落ちている木の葉や枝、漁網などに産みつけます。

    産卵期は、水温が16度くらいになる3月~5月でオスとメスが腕をからめるようにして交接し、オスはメスに精子の入ったカプセルを渡し受精します。1個づつ産みつけられる卵の大きさは、直径約1cmでふ化までおよそ20~40日かかります。

    カニやエビなど生き物が好物で沿岸(浅場)の砂底近くをはうように泳いでいることが多いのも『スミイカ』の特徴です。『スミイカ』の背中は虎斑模様で、体色変化で海底にカモフラージュしていますので、『見つけるゾ!モード』に入っていないとなかなか見つけることは、困難です!

    背中の甲の後ろにはトゲがあり、捕獲者に襲われたりして岩などに衝突すると、そのトゲで自らの胴を傷つけ泳げなくなって死んでしまうこともあるようですから可哀想ですね!

    -お生物講座071-

    投稿者 formosa : 17:38

    巳年のウミヘビはルアーの達人?


    『ウミヘビ』をテーマにお話しましょう!

    『ウミヘビ』をお話する前に、『巳年の巳』の意味について考えてみたいのですが、皆さんご存知ですか?

    干支は、時間、方角、月を現す言葉ですね!『巳の刻』と言えば午前10時ごろを、『巳の方向』と言えば南南東の方向、つまり150度方向を、また、『巳の月』は4月の異称でもあります。こんなふうに、昔の人は干支に時間や方角を割り振ったのですね!

    『海蛇座』という南天の星座もあります。『蟹座』の南から『乙女座』の南まで長く伸び、ギリシャ神話ではヘラクレスに退治された九つの頭をもつ海蛇に見立てた星座です。陸の蛇に見立てていないところが面白いです。

    『ウミヘビ』は『ウナギ目』、『ウミヘビ科』に属する海魚の総称で、インド洋、太平洋など熱帯海域に多く分布しますが、関東の海でもよく見られる種があります。ダイナンウミヘビやホタテウミヘビなどがそうです。

    『ウミヘビ』は、円筒状の体で細長く、上あごの縁のあたりに鼻孔があるのが特徴で、砂底から頭だけを出しているものはよく観察できると思います。

    『ウミヘビ科』は、更に『ウミヘビ亜科』と『ニンギョウアナゴ亜科』に大きく別れ、その特徴も若干異なります。

    『ウミヘビ亜科』のウミヘビは、尾ビレがなく堅く強い尾で砂や泥を掘って砂泥底に入っていきます。薄い布程度のものでしたら簡単に尾で破ってすすんでいくというから、その尾の力に驚きです!

    大きいもので体長2mになるというダイナンウミヘビもいますが、ほとんどは1m前後のものが多いと思います。

    『ニンギョウアナゴ亜科』は、体色が一様に褐色で体長も30cmと小型のものが多いのですが、中には面白い生態のグループがいます。

    南太平洋のサモアに住む種のウミヘビ(Glenoglossa wassi )は、アンコウ類のような擬似餌(ぎじえ)を持っているのです。しかも背ビレが発達したものではなく、舌の骨が飛び出し、その先端に甲殻類に似せた肉質の擬似餌が付いているのです。しかも口のまわりには海藻に似たひだがあり、小魚を誘うのは容易です。読者の皆さん、ご自分の舌を出しながらちょっと想像してみて下さい。

    砂に潜って、頭だけを出し、舌先の擬似餌をまるでルアーの達人のように操り小魚を口の中へと誘い込むのですから凄いです!

    陸上の蛇や海生のウミヘビは、乾燥して薬膳や精力剤などに利用している場合がありますが、海魚の『ウミヘビ』は、水産資源としての利用価値はないようです。それでも、水中をくねくねと泳ぐ姿や、砂底から頭を出して餌が近づくのを待っている姿を観察するだけでも我々ダイバーに興味をひかせてくれます。
    (*^_^*)

    -お生物講座070-

    投稿者 formosa : 16:34