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    お魚さんたちの五感!


    ブルースウィリス出演の人気映画シックスセンスの様な第六感もある かもしれませんが、通常私たちは、五感を備えており、それによって 反応・行動をしています。見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触る、即ち、 視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚です。

    では、お魚たちの五感はどうでしょう?私たちと同じく全て備えてい るのでしょうか?理科や生物でお勉強したような気もするのですが、 ちょっと復習してみましょう!

    まず、視覚はありますね。『メキシコメクラウオ』のように目のない お魚もおりますが、ほとんどのお魚は目があります。水中で私たちと 同じように目で見ることができます。しかも球形の魚眼レンズです。 広い視野で、ダイバーが密かに近づくのに苦労します。

    次は、聴覚です。お魚に耳?ありましたっけ?実はあります。人間の 耳は、外耳・内耳・中耳とありますが、お魚には、頭の中に背骨とつ ながった『耳石』といわれる内耳だけがあります。中耳がないので、 ダイバーのやる『耳抜き』が必要ありませんので便利ですね!お魚も 水中で音を聞き分けられます。ダイバーがよく、海中で貝などを石で 割って餌付けをしている場合がありますが、お魚には学習能力があっ て石を叩くような音がすると、お食事タイムと思って集まってきます。 (餌付けの是非については述べません。)

    続いて臭覚ですが、ほとんどのお魚は目の先に鼻があります。私達は 鼻から息を吸って肺の方に空気を送りますが、お魚は普通二つの穴が ある一対の鼻で、前の穴から入った水が後ろの穴から出てその途中で 臭いを感じています。サメやエイは前鼻の他にお腹側にも鼻がありま す。とても臭いに敏感なことはお分かりですよね!サケなどが生まれ た川に戻るのも敏感に臭いを嗅ぎ分けられるからだと言われています。 イヌ顔負けの凄い臭覚です。

    さて、味覚はどうでしょう?以前の生物講座でも、紹介しましたが、 『ヒメジ』などのひげは、味を見分けるアミノ酸分析機です。ナマズ やゴンズイ、イタチウオなども立派なヒゲがあります。口以外に、こ のヒゲで砂の中などの好物のえさを感じとることができて便利です。 足のようなムナビレを使って海底を歩くように動く『ホウボウ』は、 そのムナビレで、味を感じとります。

    最後に触覚です。触覚は皮膚で感じとれますが、人間の触覚の代表は 『手』ですね。お魚も、皮膚についているウロコで感じとれますが、 『側線』と呼ばれる特殊なウロコが触覚の中心です。側線(そくせん) は、頭から尾ビレの方に左右1本づつ伸びておりわずかな水の動きや 流れを感じとり、見事に外敵や仲間の気配を感じとります。触らなく ても水の動きを通じて触覚や聴覚として感じます。この側線の感覚は シックスセンスかも知れませんね!

    こうして改めて考えてみますと、お魚たちも我々人間と同じように、 五感があるのですね! 人間は、(映画を)見て、(音楽を)聞いて、(美味しいものを)食 べて楽しむことが出来ますが、お魚たちの五感は、食べる、捕食者か ら身を守る、子孫を繁栄させるために、集中して機能するように思え ます。現代人の『快楽』のための五感と、お魚たちの『生きる』ため の五感の違いでしょうか?皆さんどう思いますか?

    -お生物講座014-

    投稿者 formosa : 15:01

    干物ベスト10


    土曜日のNIKKEIプラス1を読んでいたらこんな記事があった。

    この季節におすすめの干物

    何でもランキングで、日本人の朝食に欠かせないものの一つとして、干物に詳しい専門家に「オススメの干物」を聞いてランキングしたものらしい。

    この季節にオススメの干物ベスト10
      第1位カレイ福井県
      第2位キンメダイ静岡県
      第3位アジ静岡県
      第4位コマイ北海道
      第5位アマダイ福井県
      第6位カレイ島根県
      第7位サクラエビ静岡県
      第8位シシャモ北海道
      第9位アユ高知県
      第10位ホッケ北海道


      静岡県、北海道の干物が人気だが、この季節が旬ということで「カレイ」の人気が高い。一般の人に、毎日食べても飽きない干物は?圧倒的な人気が静岡県などの「アジ」だそうだ。やっぱり「アジ」は大衆的なのだろうか?そう言えば、伊豆半島のダイビングの楽しみは、美味しそうな「アジ」の群れや「キビナゴ」の群れなど、食とつながるお魚たちとの出会いである。
    NIKKEIプラス1を読んで

    投稿者 formosa : 09:07

    お魚さんたちの寝姿


    一般的な人は、夜になると『睡眠』という休息をとりますが、お魚たちは昼と夜の世界が異なるのでしょうか?お魚たちも夜になると、お布団を敷いてまぶたを閉じて寝るのかな?

    山の『ふくろう』のように、暗い夜になると活発に活動し始める、夜行性のお魚たちがいます。ウツボやアナゴ、そしてタコやイカです。彼らは夜の捕食者たちです。ほとんどのお魚たちは、まぶたを持たず寝ているのか起きているのか区別がつきにくいですが、『夜の休息』をしている魚たちは、動きがにぶく時には触ることもできますし、じっくり観察が出来ます。それが、ナイトダイビングの面白さでもあります。

    お魚たちは、夜の捕食者たちから身を守る工夫をしています。マグロやカツオなどの回遊魚は少し泳ぎが遅くなりますが泳ぎながら休息(人間でいう睡眠)をし、決して泳ぎを止めることはないようです。

    キュウセンなどのベラの仲間は夜になると海底の砂の中に体の一部をもぐり込ませて、まるで死んでいるかのように横たわっていることがあります。彼らの『睡眠』の姿です!

    可愛い『寝姿』は、アミメハギなどのカワハギの仲間たちです。海藻やソフトコーラルや岩の先っぽを、小さくとがったくちばしでくわえ、まるでクリスマスツリーのようにぶら下がって寝ています。海藻などに隠れて、そして潮に流されてどこかに行ってしまわない知恵です。本当に寝姿が可愛いです。

    沖縄の海などで群れで泳いでいるクマザサハナムロなどのタカサゴの仲間たちは、昼は青色の体色で泳いでいる姿がきれいですが、夜になるとそれぞればらばらに岩陰で眠りにつきます。しかも、捕食者から身を守るためにくすんだ赤色に体色を変化させカモフラージュしています。

    とっても不思議なのは、ブダイの仲間でハゲブダイやナンヨウブダイ、そしてホンソメワケベラなどです。彼らは夜になると、岩陰で口からゼリー状の粘液を出して自分の体をすっぽり覆う透明な膜(寝袋)を作り、その中で睡眠をとります。クーラーの無かった時代に天井からぶら下げた蚊よけの白いかやを想像してしまいます。その透明な膜は、軟らかく指で押すと簡単に破れそうですが、何のために体を覆うのでしょうか?臭覚の鋭い捕食者『イカ』などから見つからないように自分の臭いをこの寝袋で閉じこめているのです。たいしたものです!日中のダイビングでこの透明な膜(寝袋)を目にすることがありますが、もちろん中には何も入っていない抜け殻です。

    お魚たちの昼と夜の変化や『睡眠』の姿はやはり生きる知恵です。

    -お生物講座013-

    投稿者 formosa : 23:12

    お魚の親子のきずな


    陸上の動物界ではライオンで知られるように、我が子に対する愛情で厳しく崖から突き放し、強者に育て上げる『親子の愛情ときずな』があります。ほとんどの動物は、『親子のきずな』という太いロープで親子が結ばれ生活しています。

    さて、それでは『お魚社会』では、どうでしょう?

    ネンブツダイの口内保育やスズメダイの懸命な保育など、同種の子孫繁栄のために、必死で保育している姿はこのお生物講座でお伝えしました。しかし、親子で仲慎ましく暮らしている姿はなかなか見ないのです。もっとも、産卵数の比較的少ない『ヨウジウオ』でも800個(卵の数)、『マンボウ』のように3億個もあるようなお魚たちのお産では、『親子のきずな』もあったものではありません!子孫繁栄のために数多くの産卵回数と産卵数、そしてふ化して稚魚となり旅立つまでの保育は懸命に行う、ここまでがお魚たちの親子の関係なのでしょうか?

    興味深いのは、群れを成さないお魚で、特に縄張り意識の強いお魚の中に成魚とまるっきり異なる姿・格好をし、とても親子とは思えない幼魚がいます。以前にも紹介しましたが、コショウダイ、コロダイ、サザナミヤッコ、タテジマキンチャクダイなどは、成魚と幼魚が全く異なります。オタマジャクシと蛙ほど形・格好が違うわけではありませんが、色や体表のデザイン、そして鰭(ひれ)などの形などが異なるのです。

    例えば、サザナミヤッコの成魚は、5角形のような形で、全体が薄いブルーに濃いブルーの小さな斑紋(水玉様)が綺麗に配置されていますが、幼魚は全体が丸みをおびており、黒の体色に3~4本の白い横縞が入っています。タテジマキンチャクダイの成魚は、濃いブルーの体色にほぼ真っ直ぐにのびた黄色の縦縞模様です。幼魚は、等高線のような白い線がデザインされていてとても同種のお魚とは思えません。

    ※お魚の縦縞・横縞は頭を上に尾びれを下に置いて縦方向か横方向か を見ます。普段水平に泳いでいる方向で見るのではありません。

    親子で模様が異なるお魚の幼魚は、特に綺麗で可愛いらしい配色です。ダイバーのフィッシュウオッチングや水中写真家の撮影の対象になることが多く私たちの目を楽しましてくれます。それでは、何故このようなお魚は、親と大きく異なる模様なのでしょう?難しい疑問です!弱い幼魚は、『こんなに可愛く綺麗な私を食べないで』と訴えているいるのでしょうか?いや、どうも違うようです。このような、親子で違う模様をしているお魚は、群れで行動せず特に縄張り意識が強いのです。しかも同種に対する縄張り意識が強いと言われています。不思議ですよね!幼魚たちは、同種に対してきわめて攻撃的な成魚たちに、『私はあなたとは異なる魚で親子でもなんでもありません!』と、体色や波紋を変えることで訴え、その縄張りに侵入すると考えられています。不思議なお魚の生活形態です。

    そのような親子関係、考えると切なくなります。彼らが生き続けるための知恵なのでしょうね!親に捨てられた子供が、母親に会いに行って『あなたは私の子供ではありません!』と冷たく見放されることはあっても、子供が親の攻撃を避けるために親子関係を否定するなど人間社会では考えられません。お魚の生態は、観察すればするほど不思議なことばかりです。

    -お生物講座012-

    投稿者 formosa : 09:19

    アニキ


    060107_223219.jpg

    七草、東大島の一室、
    ワインをいっきに飲み干す「アニキ」

    投稿者 formosa : 10:44

    お魚さんの食事作法


    山での狩りや漁師の漁法はいろいろなスタイル、方法がありますが、食物連鎖で知られるお魚や、その他の海中生物はどのようにして餌や獲物を捕獲し食事するのでしょうか?ダイバーの方はその捕食シーンを見たことがあると思いますが、お魚や他の生物によって、その方法は多様です。

    ほとんど泳ぐことなく海底の砂に顔や目だけを出しているオキエソは、獲物の小魚が近づくと、砂から這い出て飛びかかり口にくわえます。飛びかかる様子は、左右に体を揺すりながらゆっくりに見えますが、小魚は、砂に隠れているオキエソに気がつかず油断しているせいか、捕食は成功するようです。

    カワハギはとがった口から水を海底の砂に吹きかけ、砂の中に棲んでいる甲穀類などを探して食べています。いつも海底に頭を向けて逆立ちしている光景を目にします。

    同じく砂地の海底を這うように移動するヒメジは、下あごから出ている左右の長いヒゲで、何かを探しています。その左右のヒゲは、味蕾(みらい)という感覚器官で高度なアミノ酸分析機のようなものです。その分析機の先を砂に入れて好物のゴカイを探します。アミノ酸分析機は、ゴカイにある程度近づくと、ゴカイのアミノ酸をキャッチし、探し当てます。そしてヒメジは口を突っ込んで捕食するのです。

    キビナゴなどの比較的小さなイワシは、群れを作って他の捕食者から的を集中出来ないようにしていますが、1匹ではなかなか捕まえられないと学習能力を身につけたブリなどは、自分たちも群れを作って、四方八方から攻撃し、キビナゴの群れを破壊し、逃げ遅れて孤立したキビナゴを簡単に捕食します。後は泳ぎながら捕獲した獲物をゆっくり食べます。

    同じく群れを作るマイワシやカタクチイワシは、下あごをはずしたように口を大きく開けプランクトンをこして食事をします。もちろん、泳ぎながらです。プランクトンをこして食べるものにマンタやジンベイザメが有名です。

    意外と泳ぎの早いイカは、自分の体と同じか、それより小さな泳いでいるお魚を簡単に捕獲し、獲物をガッチリ足(腕?)で押さえ込み、鋭いくちばしでジワリジワリと食べていきます。イカの捕食シーンはよく見かけます。

    変わってタコは、好物の二枚貝やイセエビを起用に足で捕まえ吸盤とその鋭いくちばしで、いとも簡単に中の身を取り出し、食べてしまいます。

    平らな岩や砂地などの上に体色変化で身を隠しているヒラメは、目の前を通りすぎる獲物をすごい勢いで飛びつき、捕食するどう猛さがあります。ヒラメのキバは不気味ですね!

    カサゴもソフトコーラルや岩のようにじっと動かず、うっかり目の前を通り過ぎる小魚をパクリとくわえてしまいます。

    海藻を好んで食べるブダイ、メジナ、ニザダイ、アイゴなどは、固くとがったくちばしでバリバリと海藻類を食べます。

    お魚以外に、肉食のヒトデは獲物の上に覆いかぶさって腹側の口から胃を体外に出し、獲物をその胃で包み消化してしまうから驚きです。そんなヒトデも巻き貝などに捕食され食べられてしまうのです。

    海中世界では、いろいろな生物がその独特な捕食方法、お食事作法で生きながらえています。食べる知恵、生きる知恵ですね!自然界では食べるものが食べられ、そしてバランスよくいろんな生物が配置されているような気がします。それぞれが知恵をだし、精一杯生きているのです。

    -お生物講座011-

    投稿者 formosa : 10:36

    海のクリーニング屋さん


    「老人介護保険制度」も整いつつありますが、年老いて身の回りのことが自分で思うようにならない、そんな時がやがては来ることを想像すると、寂しくなってしまいます。そこそこ健康な私たちは、自分の身体を洗うことも出来ますし、かゆいところにもほとんど届きます。

    手や足を持たないお魚たちはどうでしょう?

    毎日、海の中ですので、お風呂に入る必要はないと思いますが、お魚の体表につくクラゲノミやウオジラミにはまいっちゃうでしょうね!ダイビングをしてお魚を観察していると、時々お魚たちが岩や砂底に体を擦りつけている光景をみます。きっと気持ち良いのでしょうね!ホンソメワケベラと他のお魚との相利共生(掃除共生)は、あまりにも有名です。ダイバーなら、ホンソメワケベラがお魚の体についた寄生虫を食べてクリーニングしていることは、知っていると思います。そんな光景よく見ますよね!ホンソメワケベラから体についた寄生虫や食べ残しを食べてもらってきれいにしてもらうことで不快感を取り除くことができますし、ホンソメワケベラは食事にありつけるというお互いが得をするという関係です。お魚たちはわざわざホンソメワケベラに近づいてクリーニングをしてもらったり、その順番を待ったりしています。

    では、なぜホンソメワケベラがお掃除してくれることがわかるのでしょう?

    それは、ホンソメワケベラは「クリーニング屋さんの看板」を出しているからです。口先から尾びれにかけて黒い帯(帯の周りは黄色と青色)があり、それが看板です。それと頭をやや下に向けて後部を上下しながら泳ぐのが特徴です。お魚たちは、そのクリニーグ屋さんの看板を知っているのです。それをちゃっかり利用しているのが、ニセクロスジギンポです。ホンソメワケベラとそっくりで、泳ぎ方まで似ているので、お魚がいつものようにクリーニングしてもらおうと近づくと、皮膚や鱗をかじって失敬していくのである。ニセクロスジギンポは捕食者に狙われずにすむ他、餌まで頂戴する抜け目ないやつです。人間社会でもありましたよね!老人介護保険制度の申請をしてやると言ってお金を騙し取る詐欺…

    ハタなどよく口や鰓を大きく開いて、クリーニングを受けていますが、そっちゅうきれいにしてもらって、そんなに寄生虫はいるのだろうか?実は、お魚たちは接触刺激を求めているという説もあります。今、巷(ちまた)で流行のマサージ・お灸・はりのように、お魚たちも、鱗(うろこ)や体表を突っついてもらうことが気持ちがいいのかも知れないのです!

    ところで、ホンソメワケベラの成魚は体長10cmくらいですが、幼魚は全体に黒っぽく5cmくらいです。成魚が近くにいると縄張り意識のためか、幼魚から成魚への成長が遅いようです。オスが一定の縄張りを持ち、複数のメスでハレムを形成することも知られています。クリーニングをしてくれるクリーナーは、ホンソメワケベラだけではありません。とても奇麗なオトヒメエビやアカスジモエビなどもクリーナーです。グローブをとったダイバーの手を差し出すと指の間などをクリーニングしてくれ、ちょっと痛いような気持ちいいような変な感じです。癖になります!町角のマサージ屋さんと違って無料です!

    海中生物の世界では、片一方だけが得をする片利共生は少ないと言われています。お互い利益があって、どんなにつりあいがとれていても、片方からみると精一杯生きている中で生まれた関係なのでしょうね!松とうちゃんも、いろんな方と助け合って、精一杯生きていきたいと思っています。

    -お生物講座010-

    投稿者 formosa : 06:59

    回遊魚さまの出身は?


    松とうちゃんは、18才の時、東京の足立区竹の塚に勉学のため上京して以来、20才になる前までに5回ほど引っ越しをしています。引っ越しの目的は、いつも新しい自分を発見するためで、新しい土地へ引っ越しする期待と不安が新鮮でした。世の中には、家庭の事情やお仕事や勉学のために引っ越しをなさる方がたくさんおられますよね。目的を持って引っ越しする、または自分の意志に関わりなく否応無しに引っ越しする、いずれかでしょうか?

    お魚の世界でも、引っ越しはたくさんあります。決まったの時期になると、決まった場所に産卵場所を求めて、移っていくお魚たち、そうです! サケやウナギですね。また、からだにあった水温やエサを求めて移動してあるく(泳ぐ?)カツオ、サバ、アジ、ハダカイワシもいます。これらの目的を持って移動していくお魚たちの行動を「回遊」といい、特に、泳ぐ姿がたくましく、そして美味しそうな「回遊魚」を、我々ダイバーは、好んで観察しますし、その出会いは大変嬉しいものです。生活しやすい温度を求めて回遊するカツオ、サバ、アジなどは、普通、春から夏にかけては、南から北方向に、秋から冬は、北から南方向に移動するようです。関東付近の海には、夏には南方から、秋には北方から回遊魚たちがやってくる訳ですね!

    そして、これら目的を持って回遊するお魚たちの他に、黒潮や台風の大きなうねりなどの物理的要因で、否応無しに生息地から離れ、回遊していくお魚たちもいます。(生物学的には、無効分散したお魚)海のお魚は、卵や卵からふ化した幼魚が、しばらくの間、浮遊生活をしているものがあります。これらが、黒潮や台風などで、本来生息していない海に運ばれてしまうのです。一般には、南の海を生息地とするこれらのお魚が伊豆などの海に流れ着き、そしてほとんどは、冬には生息地と異なる低い水温のため、冬を越すことができなく、これらを「死滅回遊魚」と呼び、その呼び方に論議をよぶ場合があります。南の海からやってきた可愛い幼魚たちを「死滅回遊魚」と呼ぶには、可哀想過ぎます。「死滅」とは哀れな響きです。いろんな方がこの呼称を批判していますが、残念ながらこれに変わる言葉が提唱されていません。松とうちゃんは「来南快遊魚」とでも呼びたいところです。

    秋の伊豆の海には、この「死滅回遊魚」が本当に多く見られます。そしてその可愛さと彩りで我々ダイバーを楽しませてくれます。本来、私達が南の海に行かなければ見れないお魚たちの可愛い幼魚なのです。とっても可愛いです!「死滅回遊魚」をじっと観察することで、その出身地を想像することができます。ケラマなど沖縄に多くみられる「ツユベラ」、成魚は緑色の体色に青色点がありますが、幼魚はオレンジ色に白い大きな模様があり、派手で魅力があります。長崎以南に生息する「ムレハタタテダイ」は、サンゴ礁で数十匹もの群れでいることがある可愛さが豪快なお魚ですが、幼魚は4cmほどの可愛いらしいものです。擬態で有名な「ニシキフウライウオ」も、秋には、沖縄の海からやって来てくれます。背びれが黄色の大型の「シマハタタテダイ」は、フィリピンでよく見られ、幼魚は黒と白の5cmほど体長です。時には、コショウダイ、ツバメウオ、フェヤッコ、タテジマキンチャクダイ、サザナミヤッコなどの成魚の模様とは大きく異なる、可愛い幼魚が見られます。

    「死滅回遊魚」の出身地は、そのお魚の主な生息地や、サンゴのポリプを食べる種か、プランクトンを食べる種かで想像します。例えば、前者は沖縄などのサンゴ礁から、後者は九州や紀伊半島からというふうに想像できます。(お魚図鑑で調べましょう!)こんなに可愛く我々ダイバーの目を楽しませてくれる「死滅回遊魚」も全てが冬を越せないものばかりではありません。中には、冬を越して成魚にはなるが、繁殖できないので寿命でいなくなるものや成魚となって、しかもペアを探し繁殖までする元気なものもいます。すでに「死滅回遊魚」とは呼べませんね!ダイバーに人気の「クマノミ」は、関東のあちらこちらの海で冬を越すものが見られます。「準死滅回遊魚」といったところでしょうか!「死滅回遊魚」たちは、自らの運命や終わりを嘆くことなく、精一杯生き続けようとしている気がします。

    自分の意志とは関係なく、家族の事情や転勤命令で引っ越し・転勤される方も、その土地で、自分の努力や才能で思わぬ成功があるかも知れません。また、回りの人たちに喜びを与えることができるかも知れません。新しい土地や新しい世界に入っても自分を見失うことだけは避けたいものです。帰る家と路を失った「ホームレス」と「死滅回遊魚」は、大きく異なります!

    -お生物講座009-

    投稿者 formosa : 17:07

    ダテハゼは恋路のセコム


    最近、結婚願望が薄れ『独身貴族』生活を満喫している人が多いので はと思っています。婚姻関係より助け合いの関係『同棲』を選ぶカッ プルも多くなっていますね!松とうちゃんにとって『同棲』という言 葉の響きは、『神田川』の曲の響きです。自分の夢や目標の迷い道に 入り、社会的地位が未だ確率されていない弱い二人が寄り添って暮ら している風景です。 現代の『同棲』は違いますよね!お互い一緒にいることで、利を得て いる、自分にとってプラスになる、そんな関係ではないでしょうか? (違う理由もたくさんあると思いますが…)

    お互いが利益を得て一緒 にいる『相利共生』は、海の世界にはとっても多いんです。

    『共生』で有名なのがクマノミとイソギンチャクの関係です。クマノ ミはイソギンチャクの刺胞を持った触手(一種の毒を放つ)に守られ 暮らしています。イソギンチャクはクマノミから何を得ているのか分 からないので、この関係を『片利共生』という生物学者もいます。で も、松とうちゃんは違うと思っています。イソギンチャクはクマノミ の鮮やかな彩りで、一緒にいる光景はとっても綺麗で絵になっていま すよね!そして、クマノミは縄張り意識の強いやや攻撃的なお魚です。 そんなクマノミが、イソギンチャクを守っているのではないでしょう か?

    伊豆では、砂の海底によくダテハゼとテッポウエビが『共生』してい ます。南の暖かい海、沖縄や海外でもネジリンボウをはじめダイバー に人気のハゼがエビと『共生』しています。 お魚とエビは、全く異なる生物(食べる時は同じ海産物?)ですが、 お互い助け合い、お互いに利益を得ています。一緒に暮らす巣穴は、 テッポウエビが作りそこにダテハゼが棲ませてもらっています。目の 悪いテッポウエビに代わってダテハゼは巣穴の入り口で外敵から守る ため見張り役をしています。 テッポウエビは巣穴からせっせと砂を運びに外に出てくるのですが、 外敵が近づくと、ダテハゼは尾びれを振って「外にでるな!これ以上 先に進むな!」と知らせます。可愛いのは、入口近くでテッポウエビ の触角でダテハゼの体に触れて、合図を受け取っているのです。ダテ ハゼも危険が迫ると、巣穴を後退していき、最後には自分も反転して 巣穴に潜り込みます。 こう言う光景は、ダイバーの方は良く見ますよね!観察の時は、遠く からそっと近づき脅かさないように静かに見ます。テッポウエビが巣 穴の外で砂を運んでいる姿は、相当慎重に近づき、やや離れて見ない と見れません。見張り役のダテハゼがすぐ合図してしまいます。

    ところで、ダテハゼはテッポウエビが作った巣穴に棲ませてもらう、 テッポウエビは、ダテハゼに見張り役をお願いして守ってもらう、そ んな助け合いは分かりましたが、なぜ、エビは穴をせっせと掘るので しょう?

    テッポウエビの巣穴は約1mの長さ(深さ)にも及び、巣穴の奥は幾 つもの枝分かれしています。枝分かれした小部屋に繁殖相手をお招き するために、気に入られるよう幾つもの小部屋を作っているのです。 まるで、彼女をお誘いする「カラオケボックス」見たいです。そんな 恋人探しのためのお部屋をダテハゼは外敵から守ってあげているので すね!

    伊豆の海で、これらの『共生』を観察していると、浮遊しながら泳い でいる青白いハナハゼが見れることがあります。数匹でいることが多 いですが、ダイバーが近づくと、そこら構わずダテハゼとテッポウエ ビの巣穴に入ってしまいます。これも3者の『共生』と思われがちで すが、これは単なる居候でしょう。特に3者の契約関係はなく、ダテ ハゼとテッポウエビが仲良く助け合って暮らしている中に、一方的に お邪魔したものだと思います。 こう言う人、いますよね!人間社会にも!慎ましく二人の世界を作っ ている中に突然現れて恋仲を邪魔する人…

    こんな海中の生物模様を観察するのは、芸能人の関係や身近な二人の 関係、人間模様を観察するのと同様、とっても楽しいです。 海中生物の生態はとても不思議です。海中世界を覗くスクーバダイビ ングって楽しいですね!

    -お生物講座008-

    投稿者 formosa : 16:58

    スズメダイのお父ちゃん


    大切に子育てした我が子がどのように成長していくのか、世のお父ちゃんたちの気になるところですよね!子育てというと「スズメダイ」の産卵から保育行動がちょっと面白いです。

    「スズメダイ」は全世界の熱帯-亜熱帯域の岩礁や珊瑚礁にいろどる小-中のお魚で、ダイビングをしていると、ほとんどのところで見ることができます。「スズメダイ」は、320種にも分けられ、種間差が少なく、その分類と区別が非常に難しいお魚です。日本では、南西諸島から青森県の海に住んでおり、港や防波堤で、不本意にも釣られてしまう場合もあると思います。

    スズメダイは、エサの藻類を確保するため、縄張り意識が強く、ダイバー諸君もスズメダイにフィンやウエットスーツに保護された身体をつっつかれた経験があると思います。なぜあんなに攻撃的なのかな?と不思議に思っているダイバーもいるはずです。身体の大きさ省みず、自分の縄張りに来た侵入者を口で攻撃し、縄張りを守るのです。とても勇敢ですよね!

    まず、「スズメダイ」の産卵行動ですが、オスが岩やサンゴの表面を口で一生懸命お掃除をし、産卵のための巣作りをします。そして、オスはU-スイミングと呼ばれる求愛行動を行ってメスを導きます。(U-スイミング:上下にUの字を書くように泳ぎます。)メスはその求愛行動に応えるために、自分の縄張りを離れ無ければなりません。縄張りを離れると、同じ藻類を好むハギやアイゴに荒らされるかも知れません。そこで、ほとんどの縄張り意識の強い「スズメダイ」の産卵時刻は、他のお魚が未だ起きない早朝となっています。卵はオスの作った巣(岩の表面など)に産み付けられ、普通1mmと小さいものです。一つの巣には複数のメスの卵があり、多い場合には数万にも達します。ここでも、オスはたくさんのメスのお相手をし、とってもお疲れです。縄張りの気になるメスは30分くらいで産卵を済まし、さっさと自分の縄張りに戻ります。ふ化するまでの間、オスは卵をしっかりと守ります。卵に新鮮な水を口で送ったり、死んだ卵を取り除いたり、卵を狙う外敵から守ったりで大忙しです。卵はふ化すると数mmの仔魚(しぎょ)は、すぐ巣を離れていきます。ふ化は捕食者が寝静まった日没後暗くなってから起こります。ちょうど私たちダイバーがナイトダイビングを行う時間ですね。

    オスは時々、自分の保護している卵を食べます。なんてひどいことをと思うかも知れませんが、それには理由があります。繁殖期は1~4ヶ月におよぶ場合があり、オスはその間、より多くの子孫を残すため次々とメスを呼び込みます。そしてその間はほとんど、充分なエサにありつけません。卵を守りながら多くのメスに求愛行動をとるには、体力がいります。エサがなくなり体力消耗したオスは、卵を守ることもメスを呼ぶことも出来ません。背に腹は代えられません!自分で保護している栄養豊富な卵を一部食べることで次のメスを呼び、産み付けてもらう卵を増やすことができます。結果的には、子孫を多く増やす目的を達することができるのです。どの程度、卵を食べたら結果的に多くの子孫を残せるか、そのバランスが難しいと思います。それが「スズメダイ」のオスの理性ではないでしょうか?「スズメダイ」のオスが一生懸命育てた子供たちは、どこでどう暮らすかは、オス(父ちゃん)は分かりません。そんな心配は、世のお父ちゃんたちと同じかも知れません!

    -お生物講座007-

    投稿者 formosa : 16:52

    おいくつですか?


    お魚の年令を考えたこと、気にしたことありますか?

    イヌやネコの寿命はお分かりだと思います。お魚の寿命は、短いもの永いもの種類によってずいぶんと違いがあるのです。種類が同じでも、住んでいる場所や食べているエサ、そして天然か養殖かで違う場合があるようです。

    日本人でも、沖縄県に住んでいる人は長寿ですよね。環境と食べ物、暮らしぶりでちがってくるのでしょうね。沖縄の海に住むお魚も長寿でしょうか?

    海水魚や淡水魚の寿命を見てみますと、

    アユ(淡水魚):1歳
    カタクチイワシ:2歳
    マハゼ:2歳
    ニシン:13歳
    タラ:14歳
    ヒラメ:25歳
    マダイ:40歳
    コイ(淡水魚):15~80歳
    ナマズ(淡水魚):60歳

    お魚の寿命は食物連鎖の流れの順に永くなっている気がしますが、皆さん、どう思います?

    ヒラメやマダイは、ダイビング中よく見ますが、大きくドッシリとかまえたものも多くいます。きっとお歳をめされた魚でしょうね。キンギョとか鑑賞用のお魚は、生物研究者でなくても、何年生きたとか分かりますが(キンギョは30年も生きるのです。)、お魚の年令はどうして知ることができるのでしょう?お魚に聞く訳にもいきません。

    お魚の年令は、ウロコとか、頭の中に続いている骨の先にあり、耳の役割をする耳石(じせき)というものに刻まれる輪の数で知ることができます。耳石は、分かりにくいですが、輪の数だけ歳をとっていることになります。ウロコは顕微鏡などで見ないと分かりませんが、表面に成長線といわれる細い線があります。(木樹の年輪みたいなものです。)この成長線は決まった時期(季節)に重なりあい、太くなります。太くなった成長線の数だけ数えると年令が分かります。

    短い寿命のお魚も、比較的永い寿命のお魚の、自分に与えられた人生(魚生)を精一杯生きているのでしょうね。大きな魚に食べられないようにいろいろな工夫で生き続けているのです。ダイビングをして、海中世界を覗いているとそんなお魚たちの生き様が見えてきます。私たちも、与えられた運命と自分で創造する人生、精一杯生きたいものです。

    -お生物講座006-

    投稿者 formosa : 16:46

    サクラダイは男性天国


    前回このお生物講座で、オスからメスに性転換するクマノミの話をしましたが、海中の世界にはクマノミと逆のパターンでメスからオスへの性転換をし、我ら男性諸君がうらやむ「ハレム」をつくる魚がいます。「ハレム」と言うのは1匹のオスにたくさんのメスが群がる光景です。

    ハナダイ亜科のキンギョハナダイは、伊豆でもよく見られ、インド、西太平洋の熱帯から温帯の潮通し(流れのある)のよい岩礁や珊瑚礁の傾斜面に沿って群れている魚です。綺麗な水のところにいる、美しい魚です。漁業を対象にした場合は何の価値もない魚ですが、その生態が面白く、我々ダイバーにとっては、フィッシュウォッチングの絶好の対象となります。

    通常、キンギョハナダイは、群れを成し、1匹ないし少数匹のオスに数多くのメスが囲み、ハレムを形成しています。特に、ハナダイ亜科のサクラダイは、オスが鮮やかなオレンジ色の体色に白い斑点があり、メスより身体も大きく、身体の小さい無地(黄色)のメスと区別がつき易いので、ハレムを形成している様子が良く分かります。実は、このキンギョハナダイもサクラダイも生まれた時は、メスなのです。ハレムの中のオスが死んだりしますと、(少数オスの場合は不足したオスの数だけ)メスの中で一番大きいものが性転換してオスになります。その場合、メスは3匹以上いないと、メスはオスに性転換できません。卵巣が精巣に変化するというとても不思議な性転換です。ハレムを支配しているオスが不足しない限り、メスはオスになることはありません。つまり、メスだけの集団ではメスは生涯オスになることはありませんので、どこからかやってくる王子様の求愛行動を受け入れその集団に留ませる戦略をとらないとオスのポストはできません。ハレムを支配するオスはメスにとって魅力ある存在でなければなりません。

    キンギョハナダイのメスとオスはペアで産卵し、その産卵時期は伊豆などの温帯では、6~9月が多いと思います。その時期の夕方になると、オス同士はメスを巡ってケンカをしたり、群れの上方でメスたちに求愛行動をとったりします。オスはヒレをひろげ自分をアピールし、上方に泳ぎだし、途中でクルリと回ってメスの群れに近づきます。そして身体を振るわせるのです。その内、メスに気に入られるとペアとなって水面に向かって泳ぎだします。オスは、ハレムを支配しているとはいえ、産卵期はメスに気に入られなければなりません。ヒレをひろげたり、体色・斑紋を様々に変え美しく着飾ります。クマノミはたくさんの卵を生むために、メスはオスより大きく大きなメスより小さなオスへの性転換はできないと説明しました。なぜ、キンギョハナダイ、サクラダイはメスからオスへの性転換なのでしょう!ハレムをつくる彼らの習性は、オスが魅力的になるために、身体も大きく体色や斑紋を変え、その美しさの頂点に立ったオスはメスに戻れないのだと思います。ハレムを作るキンギョハナダイたちのオスは美しくならなければならない理由があります。それは、他のオスたちより勝って、メスたちの産卵相手に選ばれなければならないからです。オスの美しさは、涙ぐましい努力の美しさなのでしょうか?世の中の女性たちが、着飾り、化粧をして我々男性を魅了するのとは違うのでしょうか?

    美を誇るのは女性で、オスが美しいのは、サクラダイたちです。人間の社会では、大金をはたいて、女性に性転換する男性もおるようですが、それは、女性が美しいからでしょうか?いとも簡単に性転換する不思議な生態の魚たちに感心をしてしまいます。ハレムは羨ましいですが、産卵?相手に選ばれる努力をする自信はありません。他の男性諸君はどうですか?

    -お生物講座005-

    投稿者 formosa : 16:39

    ポスト不足のクマノミ


    未だ日本経済は完全回復の兆しは見えず、世のサラリーマン諸君もスリル満点の会社勤めをしていることとお察し申し上げます。あわ良く、会社に残っても上位席のポストが空かないと実力だけでは昇進できないのが日本企業に勤める者の辛さでしょうか!

    海の世界でもポスト不足に悩んでいる魚たちがいます。

    その中でも有名なものが「クマノミ」です。クマノミはとても可愛く、色合いの綺麗な魚ですが、映画「ニモ」で有名になりました。ペット用の海水魚で人気のある魚で、日本では、南西諸島の珊瑚礁を中心に6種類(セジロクマノミ、ハナビラクマノミ、クマノミ、ハマクマノミ、カクレクマノミ、トウアカクマノミ)が生息し、その内クマノミだけが千葉県以南の温帯域にまで進出しています。

    クマノミ属のファミリーの構成と性転換は実に不思議です。

    クマノミは、イソギンチャクと共生の関係にあるのはご存じでしょうか?イソギンチャクは刺胞と呼ばれる毒針発射装置を持ち、その毒針に対する防御手段を持つクマノミは、イソギンチャクを格好の避難場所、休息場所として利用しています。クマノミはふ化してから数週間の間、浮遊生活をして体長1cmくらいでイソギンチャクに定着するようです。クマノミ属の魚はイソギンチャクの空間的制約のためか「一夫一妻」を守ります。注目すべきは、一夫一妻と若魚(夫婦の子供とは限りません)でファミリーを構成し、その中で一番大きいのがメス(妻)で次に大きいのがオス(夫)です。クマノミのメスはたくさんの卵を生むために大きいと考えられています。もちろん、子育てをするオスも大きい方が好まれる(メスに)と思います。メスが死にますと、オスは生殖腺をメス型に変え性転換します。身体も大きくなり産卵機能を持つまで数ヶ月はかかると言われています。空いたお父さんのポストには、次に大きな若魚が昇進し、お父さんとなります。メスよりオスが早く死んでしまった場合も、オスの空いたポストを若魚が埋めます。

    何と不思議な生態でしょう!

    若魚は、オスとメスのいずれかが死んだりいなくなったしないと上位席のポストは空かないのです。人間社会より厳しいかも知れません。

    ところでクマノミはどうしてオスからメスに性転換するのでしょう?
    メスからオスではダメでしょうか?

    先に書きましたが、産卵機能を強化するために、メスは大きいと考えられています。(他の魚には反対のものも有ります。)一旦大きくなったメスからより小さなオスへの転換は、生物学的には無理のようです。クマノミは縄張り意識が強く、特に産卵期にはとても攻撃的です。マスクにアタックされたダイバーも多いはずです。

    さて、ここまではダイバーの方であれば何となく理解している知識と思いますが、これからは、もっと深い知識です。

    いままで述べたクマノミの性転換は実は、次善の策なのです。メスがいなくなって、やもめオスは自ら性転換し、メスのポストを埋め産卵機能を持つまで数ヶ月もかかるのでは、もしそれが産卵期(日本では6月~10月)ですと困ったことになります。クマノミはより大きなイソギンチャクを好み、常にまわりのイソギンチャクのクマノミファミリーの失態をねらっています。例えば、やもめオスがとなりでできたとすると、メスは、そちらが環境がいいと思えば、となりのやもめオスとペアーを組みます。やもめオスも、自分が性転換するより直ぐさま産卵できるメスを歓迎するわけです。隣のお家の後がまについた奥さんのポストは、誰かが埋めるのでしょうね!クマノミのペアーは数年続く場合も珍しくないようですが、いずれは解消します。その原因は、連れ合いをなくしたり、仲良くやっていたのに他のメスやオスに侵略されたり、自ら、他の優位なオス、メスを求めたりで、人間社会にもあるような現象です。ただクマノミたちの目的は、如何に繁殖の機会を多くし子孫を残すことにあるのだと思います。そこが人間社会とちょっと違いますね。

    私たち人間は、上位席を自らの実力と努力で勝ち取りたいものです。世のサラリーマン(ウーマン)諸君!がんばりましょう!

    -お生物講座004-

    投稿者 formosa : 15:04

    タコの忍法


    もともと夜行性のタコは、昼間は岩陰や岩と砂地の隙間に隠れていることが多く見つけにくいですが、夏の繁殖期には、昼間もあちらこちらで見かけることができます。

    海の生き物(イルカなど哺乳動物を除く)の中で、もっとも賢いといわれるのがタコです。なにしろ目が良く運動能力も抜群で、特に柔軟体操をやらせたらオリンピック選手でも敵いません。体が柔らかいので、「どうしてこんな狭いところ通るの!」といった脱出術もお手のものです。そして手先も器用で、護身術も多芸多才です。

    その代表的な忍法は、変わり身の術です。

    岩や砂などまわりの環境にあわせて体色が変わります。まわりの色と同じにしてカムフラージュするわけですね。タコ以外にもカレイやヒラメが体色を変えることが有名ですが、イカやタコは、その中でも激しく急変させることが出来ます。人は怒った時、顔色が赤くなり、「ゆでダコ」みたいと言います。人は顔色を変えても体色を変えることはできません。魚屋さんやスーパーで並んでいるお刺身用のタコは、ほとんど薄いピンク色の「ゆでダコ」です。海中では、タコが怒ると青白く体色を変化させます。決して「ゆでダコ」の色ではありません。

    それではなぜ、怒ったり(威嚇)まわりの色にカムフラージュするために体色を急変することができるのでしょうか?不思議ですよね!

    体色のもとになるのは、皮膚に内蔵された色素胞(袋)と光を反射する細胞です。色素胞には、黒・黄色・赤・白などの色素があり、これらが収縮したり拡張したりすることで、体色に変化がおきます。体色を急変させることができる一部の魚やタコは、体色神経というものがあって、目で感じた背景の色をこの体色神経で色素胞に伝え、同じ色に体色を変化させます。見事なシステムです。最近の画像処理ソフトのカラー選択(カラーピッカー)のスポイトの機能が、タコたちの体色変化システムに似ています。陸上の生物でも体色を変化させるものがあるようですが、タコのように、背景と同じ色に瞬間的に体色を変化させることができるのはないのでは?と思います。

    次は、煙頓の術です。

    ご存じですよね。イカやタコは墨を吐きます。外敵に捕まりそうになると、墨を吐き、目を眩ませて逃げるのです。以前、台湾でナイトダイビング中、大きなイカ(タコではありません。)に墨を吐かれて、2~3分くらい何も見えなかったことがあります。タコは常に身体の中に黒い墨を貯蔵しておき、いざという時に使います。私たち人間よりも危機管理能力に優れていますよね。

    そして、木の葉隠れの術です。

    タコは足についている吸盤の見事な機能で、海草を身体に巻き、隠れることができます。見事なまでに身体全体を海草でくるむことができるのです。その他にも、砂の中に潜って隠れたり(潜望鏡のように目を砂から出しています。)、威嚇のために、体色を変える他、足を大きく広げ、足と足のひだで扇子のようにする時もあります。(大きく見せて相手をビックリさせます。)泳がなくても(タコは泳ぎもうまいのです。)足の吸盤で岩をよじ登ったら張り付いたりすることもできます。

    こんな多才な術を使う賢いタコですが、好物の貝の食べた後の貝殻を、自分の巣の入り口においておき、タコがいること、すぐ分かってしまうのは、あまりにもまぬけで、憎めません!

    タコ、食べても美味しいですね!大好きです。護身術が多芸多才なタコ、どこでもいつでも、スーパーの鮮魚コーナーに並んでいますね。タコの生態を理解している漁師さんたちがもっと賢いのでしょうか?

    -お生物講座003-

    投稿者 formosa : 14:55

    お父さんのお口は保育器?


    最近のデパートなどでは、男子トイレに乳幼児のベット(オムツ交換?)を備え付けているとところが多いですね。育児も男女均等にと言うでしょう。

    お魚たちの中には、お産はメスで保育はオスのお仕事と決まっているものがおります。保育はお母さんが、と言うイメージを素直に受け入れている松とうちゃんは(女性の皆さんごめんなさい)、人間に生まれて良かったと海中で思う事が、夏にしばしばあります。

    水の澄んだ川に住む「トゲウオ」、海中の小さな人気者「タツノオトシゴ」や「ヨウジウオ」、口内保育で有名な「テンジュクダイ」などは、メスが卵を産んだ後、オスが保育します。沖縄に多く見られる「キンセンイシモチ」は、黄金色の体に、縦の線(魚はほとんど横に泳ぎますが頭から尾びれの方向を縦と言います)があるもので、これら「テンジュクダイ」の仲間は、オスが口内保育をします。実に不思議な光景です。「テンジュクダイ」の産卵からふ化までの様子は、


    ①メスはオスに腹を見せながら体をすりよせます。

    ②メスがオスの口をつつきます。
     (チュッチュッとキスをしている様子です。)

    ③オスはメスの産卵に備えて、何度も口を大きく開けて練習します。
     (人間の妊婦さんがお産のためのトレーニングに似ています。)

    ④メスがオスの生殖器をつつき、その後、体を並べて泳ぎます。

    ⑤メスの産卵が始まり、オスは放精後、卵のかたまりを嗅ぎます

    ⑥オスは卵のかたまりをいっきに口にくわえメスの体から ちぎり取ります。

    ⑦オスは卵を丸ごと口にくわえたまま、時々、大きく口を開け新鮮な海水(酸素)を取り入れます。(口内保育しているオスは頬張っていますのですぐ分かります。)

    ⑧産卵後約8日間オスは何も食べず卵を守ります。

    ⑨産卵約8日後オスは口を動かし水面近くに浮上し卵をふ化させます。

    ⑩ふ化した稚魚はオスの側を離れず、外敵が近づき危険を察知するとオスの口の中に逃げ込みます。
    (オスが掃除機で吸い取っている感じです。)

    ⑪稚魚を大事に保育し、旅立たせたオスは、餌をたくさん食べて栄養補給に努めます。

    ⑫体力を回復したオスは、次ぎの卵を加える準備し、産卵期の間、繰り返します。


    凄いですよね!

    いつも伊豆の海に出かける松とうちゃんは、車の運転で眠気冷ましにチューインガムを噛んでいますが、一つのガムを噛み続ける時間は1時間が限度です。口を大きく頬張り8日間もの間、食事もせず子育てに専念するなど、到底松とうちゃんにはできません。

    伊豆の海では、あちらこちらで「ネンブツダイ」が群れていますが、注意深く見ていると、口内保育をしているオスが見られます。頭の部分が大きく頬張っていますのですぐ分かります。見かけると「お父さん!子育て頑張っているね!偉いね!」とオスたちに、声をかけています。

    メスとオスが分業で子育てしている姿は、微笑ましいですね。厚生省の広告に「育児をしない男性は父親と呼ばない!」とありました。我ら男性も「テンジュクダイ」を見習うべきかも知れません。

    世のお父さん方、いかがでしょうか?

    -お生物講座002-

    投稿者 formosa : 14:45

    誰が進路を決める?


    ライオンやサル、シカの群れにリーダーがいるのは、ご存じですね。彼らは、群れとして組織され分業があり、リーダーは群れの行動を支配しています。

    魚の世界では、どうでしょう?

    魚の群にオタマジャクシ、イワシ、カツオ、マグロ、ゴンズイなどが有ります。魚の群は、いつも同じ方向に泳いで行き雄大ですが、これらの魚の群には、陸上動物の様に進路を決めるリーダーがいるのでしょうか?

    結論は、これらの魚の群にはリーダーがいません。

    それではどうして魚たちは群れて同じ方向に泳ぎ回るのでしょうか?エーリッヒ・フォン・ホルストという有名な生物研究者の研究発表によると、魚たちの群れは、ただ単に生まれたところが一緒で育ちも同じだからいつも一緒にいるだけ、と言っています。これら群れを作る魚の前脳の中に仕組まれた器官には、接触刺激というものがあり、これによって常に近づき、触れ合いながら海中を泳いで密集郡を作り、1匹の様に行動するのだそうです。誰が進路を決めるわけでもなく、外的や人間が数匹にちょっかいをだすと、その数匹は逃げようとしますが、それと同時に群れ全体が同じ動きをする。これが、接触刺激の力の様です。

    凄いですね。

    リーダーがいなくても小魚が大きな群れを作り、まとまることで、力強い姿になり、自分の身を守っているのですね。私たちも集団生活をしているこの社会、見習いところがある反面、流行に流され、同じ様な行動しかできない現代社会の若者と重ね合わせて見ると考えさせられます。

    -お生物講座001-

    投稿者 formosa : 14:28

    豊川稲荷


    新年明けましておめでとうございます。

    カウントダウンを、赤坂「一ツ木通り」のバール・デル・ソーレでしようと、自宅から向かったが、歩いているうちに年越ししてしまった。

    バール・デル・ソーレは、親切で楽しい人々でにぎあっていました。

    近所で仕事している人、バール・デル・ソーレのスタッフたちと楽しく語らい新年を迎えました。
    初詣は、元赤坂の豊川稲荷にいきましたが、恒例だろうか?ジャニーズを待っている若い女の子の山でした。寒いのにご苦労さまです。


    2006年もよろしくお願いいたします。

    投稿者 formosa : 09:37