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    回遊魚さまの出身は?

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    松とうちゃんは、18才の時、東京の足立区竹の塚に勉学のため上京して以来、20才になる前までに5回ほど引っ越しをしています。引っ越しの目的は、いつも新しい自分を発見するためで、新しい土地へ引っ越しする期待と不安が新鮮でした。世の中には、家庭の事情やお仕事や勉学のために引っ越しをなさる方がたくさんおられますよね。目的を持って引っ越しする、または自分の意志に関わりなく否応無しに引っ越しする、いずれかでしょうか?

    お魚の世界でも、引っ越しはたくさんあります。決まったの時期になると、決まった場所に産卵場所を求めて、移っていくお魚たち、そうです! サケやウナギですね。また、からだにあった水温やエサを求めて移動してあるく(泳ぐ?)カツオ、サバ、アジ、ハダカイワシもいます。これらの目的を持って移動していくお魚たちの行動を「回遊」といい、特に、泳ぐ姿がたくましく、そして美味しそうな「回遊魚」を、我々ダイバーは、好んで観察しますし、その出会いは大変嬉しいものです。生活しやすい温度を求めて回遊するカツオ、サバ、アジなどは、普通、春から夏にかけては、南から北方向に、秋から冬は、北から南方向に移動するようです。関東付近の海には、夏には南方から、秋には北方から回遊魚たちがやってくる訳ですね!

    そして、これら目的を持って回遊するお魚たちの他に、黒潮や台風の大きなうねりなどの物理的要因で、否応無しに生息地から離れ、回遊していくお魚たちもいます。(生物学的には、無効分散したお魚)海のお魚は、卵や卵からふ化した幼魚が、しばらくの間、浮遊生活をしているものがあります。これらが、黒潮や台風などで、本来生息していない海に運ばれてしまうのです。一般には、南の海を生息地とするこれらのお魚が伊豆などの海に流れ着き、そしてほとんどは、冬には生息地と異なる低い水温のため、冬を越すことができなく、これらを「死滅回遊魚」と呼び、その呼び方に論議をよぶ場合があります。南の海からやってきた可愛い幼魚たちを「死滅回遊魚」と呼ぶには、可哀想過ぎます。「死滅」とは哀れな響きです。いろんな方がこの呼称を批判していますが、残念ながらこれに変わる言葉が提唱されていません。松とうちゃんは「来南快遊魚」とでも呼びたいところです。

    秋の伊豆の海には、この「死滅回遊魚」が本当に多く見られます。そしてその可愛さと彩りで我々ダイバーを楽しませてくれます。本来、私達が南の海に行かなければ見れないお魚たちの可愛い幼魚なのです。とっても可愛いです!「死滅回遊魚」をじっと観察することで、その出身地を想像することができます。ケラマなど沖縄に多くみられる「ツユベラ」、成魚は緑色の体色に青色点がありますが、幼魚はオレンジ色に白い大きな模様があり、派手で魅力があります。長崎以南に生息する「ムレハタタテダイ」は、サンゴ礁で数十匹もの群れでいることがある可愛さが豪快なお魚ですが、幼魚は4cmほどの可愛いらしいものです。擬態で有名な「ニシキフウライウオ」も、秋には、沖縄の海からやって来てくれます。背びれが黄色の大型の「シマハタタテダイ」は、フィリピンでよく見られ、幼魚は黒と白の5cmほど体長です。時には、コショウダイ、ツバメウオ、フェヤッコ、タテジマキンチャクダイ、サザナミヤッコなどの成魚の模様とは大きく異なる、可愛い幼魚が見られます。

    「死滅回遊魚」の出身地は、そのお魚の主な生息地や、サンゴのポリプを食べる種か、プランクトンを食べる種かで想像します。例えば、前者は沖縄などのサンゴ礁から、後者は九州や紀伊半島からというふうに想像できます。(お魚図鑑で調べましょう!)こんなに可愛く我々ダイバーの目を楽しませてくれる「死滅回遊魚」も全てが冬を越せないものばかりではありません。中には、冬を越して成魚にはなるが、繁殖できないので寿命でいなくなるものや成魚となって、しかもペアを探し繁殖までする元気なものもいます。すでに「死滅回遊魚」とは呼べませんね!ダイバーに人気の「クマノミ」は、関東のあちらこちらの海で冬を越すものが見られます。「準死滅回遊魚」といったところでしょうか!「死滅回遊魚」たちは、自らの運命や終わりを嘆くことなく、精一杯生き続けようとしている気がします。

    自分の意志とは関係なく、家族の事情や転勤命令で引っ越し・転勤される方も、その土地で、自分の努力や才能で思わぬ成功があるかも知れません。また、回りの人たちに喜びを与えることができるかも知れません。新しい土地や新しい世界に入っても自分を見失うことだけは避けたいものです。帰る家と路を失った「ホームレス」と「死滅回遊魚」は、大きく異なります!

    -お生物講座009-





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