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イカの前うしろはどっち?
タコの八ちゃん、イカのとうちゃん、と言われるように、足の本数をイメージしている方が多いと思いますが、それぞれ何本かお分かりですよね?漫画にでてくるイカやタコの顔は、胴体部分に眼や口が描いていることが多いですが、実際の構造は違うようです。
今回は、世界のイカ漁獲量の1/3、タコの漁獲量の1/2を消費するという日本人の好きなイカ・タコ類のうち、特に烏賊(いか)についてお話します。松とうちゃんは、寿司屋さんに行ってイカを頼まない時はない!と言うほどのイカ好きです。 春先は、富山県の『ホタルイカ』が旬ですね!ふだんは、沖合の水深200~500mの深海に生息している『ホタルイカ』のメスが産卵のために浅場に移動し、産卵を終えたメスが定置網で捕獲されます。この時期にいただく『ホタルイカ』はほとんどメスということになります。 温帯海域のイカは、春から初夏が産卵時期のものが多く、ダイバーが入る海中でもイカの産卵やふ化でにぎあいます。 イカ・タコ類は巻貝などと同様、『軟体動物』ですが『オウムガイ類』を除き体の外に貝殻がありません。 イカ・タコ類は、『コウイカ目』『ツツイカ目』『コウモリダコ目』『八腕形目』の4つのグループに分かれ、更に『コウイカ目』の『コウイカ科』には、『コウイカ』『モンゴウイカ』『コブシメ』などがあります。 『ツツイカ目』は、『ヤリイカ科』『ホタルイカモドキ科』『アカイカ科』など幾つかのグループに細分され、食卓でお馴染みのヤリイカ、ケンサキイカ、アオリイカは『ヤリイカ科』に、美味で日本のイカ消費量の1/3を占めるイカの代表スルメイカはアカイカの仲間です。 スルメイカは松とうちゃんの故郷、青森県内の八戸が水揚げ量を誇ります。小さい頃から食卓のお刺身と言うとスルメイカか、馬刺、鯨刺でした。(いずれも安かった時代です。) イカが好物な松とうちゃんは、どうしても食べる方に行ってしまいます!失礼しました!(*^_^*) さて、8本足、10本足で区別されるイカとタコですが、餌(えさ)を捕まえたり、抱きかかえたりする機能からすると、足というより、『腕』と言った方がよさそうです。 基本的にはイカも8本の腕をもち、それ以外に伸縮自在で機敏な二本の触腕(しょくわん)を加え10本腕ということになります。 次にイカの独特な体の構造です。イカの耳とか、イカの足と言うように、何となく三角の部分が頭で上、腕が足側で下のように見え、そのように漫画では描かれていることが多いと思います。実際は、腕の根もと側が頭で、頭から直接腕が生えている感じです。頭部には、腕を広げた中央に口が、その後方に大きな一対の眼があります。 消化器は、口から食道・消化管とつづくのですが、我々人間と違って頭の中を通って後方の内臓塊(わた)の方につながっています。生命機能に重要な頭を通る部分は細い管になっていますので、お魚などを捕食した後は、強いくちばし(からす)と歯の生えた舌で、充分にかみ砕き消化液で流動食状にして奥に流し込みます。この効率的な摂取方法がイカの速い成長を助けるのかも知れません。 胴体部分の内臓塊は筋肉質の外とう膜(お刺身で食べる部分)で包まれ、その先端にはひし形や丸みをおびた三角の鰭(ひれ)があります。 イカは、腕を広げた中央の口側が『前』、ひれ側が『うしろ』になります。水中で観察すると前にもうしろにも進むことができるのが分かります。 自分と同じくらいの大きさのお魚を捕食するとき、前に進んで、伸縮自在な触腕(しょくわん)を素早く伸ばし、獲物を捕らえ引き寄せ、他の腕でガッチリ押さえます。 敵から逃れるときは、ものすごい速さでうしろに後退し泳ぎ去ります。 前にもうしろにも、どうやって泳ぐのでしょうか? その秘密は、呼吸の役割をもつ身(外とう膜)のポンプ機能にあります。呼吸は、体を大きく膨らませ、頭部と身(外とう膜)の隙間から海水を吸い込みえら部分でガス交換をしますが、吐き出すときは頭の腹側にあり、わずかに外に伸びた管状の漏斗(ろうと)というノズルから勢いよく出し、その推進力(反動)で進みます。その管状の漏斗(ろうと)は、前側にもうしろ側にも自由に向けられますので、どちらにも泳ぐことができるのです。身(外とう膜)を収縮して真っ直ぐ吐き出す前方向の反対が一番効率の良い推進力があるため、うしろ向きに泳ぐのが速いのです。 我々人間は運動すると酸素の消費が激しくなり、呼吸が間に合わなくなりますが、イカは速く泳げば泳ぐほどポンプ機能を活発にすることになり、同時にたくさんの海水の出し入れをしますので呼吸の効率もよくなる訳です。きっと、速く泳いでも『ハーハーぜいぜい』いうことはないのですね! 今回は、お話が長くなりますのでこの辺にしておいて、引き続き次回、イカのオス・メスや交接行動、産卵・ふ化などについてお話します。 -お生物講座031- |