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サーモンと筋子といくら!
シリーズで読める『親と子(卵)シリーズ』今回、最終回です!
筋子(すじこ)はサケの卵巣卵であることは、皆さんご存知ですよね。 完熟前の卵をサケの腹から取り出した筋子を、主に手で丁寧にほぐした卵を『いくら』といいますが、そのほぐす方法はいくつかあるようです。例えば、蛋白分解酵素を使ってほぐすとか、ぬるま湯につけてほぐすなどの方法を聞いたことがあります。 筋子より手のかかるこの『いくら』は、値段が高く、別物と認識している方もおられるようですが、同一のものですよね!『いくら』の語源はロシヤ語の『魚卵』の意味からきています。前回のキャビア同様、ロシアでは魚卵といったらサーモンの卵をイメージするのでしょうね! 筋子のうまみは新鮮なものを薄塩でつけないと壊れてしまいます。松とうちゃんの田舎『青森』では、高級で高い筋子ほど薄塩です。母親が美味しい筋子を食べさせようと、この新鮮で薄塩の筋子をよく東京に住む松とうちゃんに送ってくれました。一度、その大好きな筋子にあたり、七転八倒の苦しみを感じながら病院に担ぎ込まれた経験があります。筋子に限らず、魚卵は栄養豊富ですぐ細菌が増殖する温床みたいなものなのです。美しいもの、美味しいものほど気をつけないといけないということでしょうか? さて、『いくら』の親、『サケ』ですが、サケ目→サケ亜目→サケ科に分類されます。サケ亜目には、アユ科、シラウオ科がサケ科と並んでいるというから驚きです! サケ科のお魚は、以前お話した『ボラ』を形象した航空機DC10のように紡錘形で一般に側篇しています。ほとんど幼魚にはパーマークと呼ばれる小判形の黒斑があり、同定に役立ちます。 サケ科のお魚でもっとも大きくなるのは、キングサーモンと呼ばれる『マスノスケ』で全長150cmにもなると言われています。北海道 東部の河川にも2m級の『イトウ』がいたと言われていますが、今は、1mを超えるのを見つけるのは難しいようです。 『サケ』と言うと、そ河(そか)回遊魚つまり回帰性の代表とされていますが、その多彩な生活史は不思議そのものです。卵から幼魚までの時期は淡水ですごし幼魚期から成魚期は海域で成長したのち生まれ故郷の川へ戻って産卵します。 秋から冬にかけて生まれた仔魚は、『フライ』と呼ばれ体内の卵黄を栄養として育ちますので餌をとらず、水底の砂利に横たわっていることが多いようです。卵黄を吸収しきる春先、仔魚が砂利のあいだから川の流れに泳ぎでるようになりますがこれを『浮上』と言うそうです。 ダイビングで言う『浮上』と似ていますね! これから海へ旅立つわけですが、このころ劇的な変化が起こります。それは、淡水から海という塩分の強い環境へ移るための、『浸透圧』の機能を変えると言うことと、スリムになり前述のパーマークが消え、全身が銀白色となり、群れをなして泳ぐと言うことです。 沖合いに出たサケははるかかなたの北洋に向かい1~4年、海で過ごしたあと、生まれ故郷の川に産卵のために戻ってきます。 この母川回帰は、川に近づくまでの外洋では『太陽コンパス』と『体内時計』や『地磁気』を感じて帰ると言われていますが、実際のところは分かりません。川に近づいてからは、幼魚期に感じ記憶していた臭いを頼りに遡上(そじょう)するようです。何度となくテレビなどのサイエンス番組で見ていると思いますが本当に不思議なメカニズムです。 産卵場についたメスは、体を横倒しにして尾びれで川底の砂利を掘り、産卵床をつくります。オスは配偶者をめぐって激しく争い勝ち残ったオスはメスの産卵と同時に放精します。その時間わずか10秒と言うから、そのための、かれらの何千kmと言う旅に敬服します。 産卵を終えたメスは、受精した卵を守るが約1週間ほどで力尽きて流され死に至ります。オスはそのあとどうしたのかは男性である松とうちゃんの口からは言えません! 子孫繁栄のためとは言え、すごいサケの生活史です! 最近、お寿司屋さんでは決まって『サーモン』のにぎりがありますが、本来、秋から冬にかけてのそ上の時期に捕獲されるため。脂は差ほどのっていなく、特に産卵で脂を使い果たすメスよりオスの方が、脂があるのでスモークサーモンにはオスがメインです。 スモークサーモンといえば、いつぞやのサミットで日本のスモークサーモンが美味しいと絶賛されたのは兵庫県神戸市有馬町の老舗が作ったものと記憶しています。 サケの利用は幅広いですよね!正月に欠かせない『新巻鮭』、頭の軟骨を用いた『ナマス』、半解冷凍の『ルイベ』あげるときりがない食材です。松とうちゃんは田舎の『なた割漬け』に入ったルイベと岩手の『いくら』『ルイベ』の入ったナマスが大好きでした! こんななじみのある高級食材の『サーモン』『筋子』『いくら』も、無尽蔵ではないと思うと居酒屋や寿司屋さんで簡単に注文はできないと思う松とうちゃんでした。 『親と子(卵)シリーズ』いかがでしたでしょうか? 気まぐれで始めたシリーズ、正直言って、6回も続くとは思いませんでした。このシリーズ1回目からご愛読の皆様!最後までお付き合いいただきありがとうございました。次回からは再び、お魚の不思議な生態を中心にお伝えしたいと思います。 -お生物講座026- |