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    ポスト不足のクマノミ

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    未だ日本経済は完全回復の兆しは見えず、世のサラリーマン諸君もスリル満点の会社勤めをしていることとお察し申し上げます。あわ良く、会社に残っても上位席のポストが空かないと実力だけでは昇進できないのが日本企業に勤める者の辛さでしょうか!

    海の世界でもポスト不足に悩んでいる魚たちがいます。

    その中でも有名なものが「クマノミ」です。クマノミはとても可愛く、色合いの綺麗な魚ですが、映画「ニモ」で有名になりました。ペット用の海水魚で人気のある魚で、日本では、南西諸島の珊瑚礁を中心に6種類(セジロクマノミ、ハナビラクマノミ、クマノミ、ハマクマノミ、カクレクマノミ、トウアカクマノミ)が生息し、その内クマノミだけが千葉県以南の温帯域にまで進出しています。

    クマノミ属のファミリーの構成と性転換は実に不思議です。

    クマノミは、イソギンチャクと共生の関係にあるのはご存じでしょうか?イソギンチャクは刺胞と呼ばれる毒針発射装置を持ち、その毒針に対する防御手段を持つクマノミは、イソギンチャクを格好の避難場所、休息場所として利用しています。クマノミはふ化してから数週間の間、浮遊生活をして体長1cmくらいでイソギンチャクに定着するようです。クマノミ属の魚はイソギンチャクの空間的制約のためか「一夫一妻」を守ります。注目すべきは、一夫一妻と若魚(夫婦の子供とは限りません)でファミリーを構成し、その中で一番大きいのがメス(妻)で次に大きいのがオス(夫)です。クマノミのメスはたくさんの卵を生むために大きいと考えられています。もちろん、子育てをするオスも大きい方が好まれる(メスに)と思います。メスが死にますと、オスは生殖腺をメス型に変え性転換します。身体も大きくなり産卵機能を持つまで数ヶ月はかかると言われています。空いたお父さんのポストには、次に大きな若魚が昇進し、お父さんとなります。メスよりオスが早く死んでしまった場合も、オスの空いたポストを若魚が埋めます。

    何と不思議な生態でしょう!

    若魚は、オスとメスのいずれかが死んだりいなくなったしないと上位席のポストは空かないのです。人間社会より厳しいかも知れません。

    ところでクマノミはどうしてオスからメスに性転換するのでしょう?
    メスからオスではダメでしょうか?

    先に書きましたが、産卵機能を強化するために、メスは大きいと考えられています。(他の魚には反対のものも有ります。)一旦大きくなったメスからより小さなオスへの転換は、生物学的には無理のようです。クマノミは縄張り意識が強く、特に産卵期にはとても攻撃的です。マスクにアタックされたダイバーも多いはずです。

    さて、ここまではダイバーの方であれば何となく理解している知識と思いますが、これからは、もっと深い知識です。

    いままで述べたクマノミの性転換は実は、次善の策なのです。メスがいなくなって、やもめオスは自ら性転換し、メスのポストを埋め産卵機能を持つまで数ヶ月もかかるのでは、もしそれが産卵期(日本では6月~10月)ですと困ったことになります。クマノミはより大きなイソギンチャクを好み、常にまわりのイソギンチャクのクマノミファミリーの失態をねらっています。例えば、やもめオスがとなりでできたとすると、メスは、そちらが環境がいいと思えば、となりのやもめオスとペアーを組みます。やもめオスも、自分が性転換するより直ぐさま産卵できるメスを歓迎するわけです。隣のお家の後がまについた奥さんのポストは、誰かが埋めるのでしょうね!クマノミのペアーは数年続く場合も珍しくないようですが、いずれは解消します。その原因は、連れ合いをなくしたり、仲良くやっていたのに他のメスやオスに侵略されたり、自ら、他の優位なオス、メスを求めたりで、人間社会にもあるような現象です。ただクマノミたちの目的は、如何に繁殖の機会を多くし子孫を残すことにあるのだと思います。そこが人間社会とちょっと違いますね。

    私たち人間は、上位席を自らの実力と努力で勝ち取りたいものです。世のサラリーマン(ウーマン)諸君!がんばりましょう!

    -お生物講座004-





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